FA(Financial Accounting)

『証券アナリスト』取得者の私でも面を食らった、ACCAに出てくる財務指標2選(+α)

どうも!

“金融界の普通自動車運転免許”と言われる「証券アナリスト」の資格も持っています!

『プロリーマン』志望のクマガワ@Kumagawa_Pro)です!!

 

さて私、現在はACCA(英国勅許公認会計士)という資格試験に挑戦中なのですが、今(201911月下旬)は最初に受検するFAFinancial Accountingという科目の勉強に取り組んでおります。

 

この科目、ぶっちゃけ簿記3級に毛が生えた程度の財務会計なんですが、曲がりなりにも「会計士」の試験というだけあって、ちょこちょこと簿記1級レベルの内容も顔を出してきます。

たとえば、連結会計やキャッシュフロー計算書といった論点にも踏み込んでいます(もちろん、内容自体は非常に初歩的で、簿記1級クラスの複雑な計算とは比べるべくも無いのですが……)

 

さらに、簿記検定どころか(日本の)公認会計士の試験にも登場しない財務諸表分析に関する項目も、FAの出題範囲には含まれています。

(公認会計士試験に出てこないからといって、決して「難しい」という意味ではありません。あくまでも出題の「範囲」のお話です)

 

財務諸表分析といえば、私、『証券アナリスト』の資格を持っておりまして、その試験勉強の際に結構しっかりと勉強した経験がございます。

 

……が、ACCAのテキストに書かれている財務指標の中には、『証券アナリスト』の資格を持っている私でもあまり馴染みの無いものがあったりします。しかも、決してマイナーな指標というわけではなく、海外ではよく使用される基本的なツールのようなのです。

 

今回は、「日本ではあまり馴染みが無いけれど、海外の金融業界では常識(?)」な財務指標を2つ(+α)ご紹介したいと思います。

 

 

① ROCE:使用資本利益率

Return on Capital Employedの略で、

Profit before interest and taxationPBIT/ Capital employed × 100(%)

 と計算されます。

 なお、

Profit before interest and taxation(PBIT)= 利子税金控除前利益

Capital employed = 使用資本
=株主資本 + 長期負債(または、総資産 - 流動負債)

です。

 

財務諸表分析を少しでもかじったことがある人であれば、ROAReturn on asset)」という言葉を耳にしたことがあると思います。

このROAは、貸借対照表の“左側”(=借方)に着目して、「すべての資産が効率良く使われているか?」ということを判断するための指標です。

 

一方、ROCEは、貸借対照表の“右側”(=貸方)に焦点を当てて、「株主と債権者から投下してもらった資金を効率良く利用できているか?」を判定します。そのため、短期の負債は「債権者から投下」されているとまでは言い難いため、分母から除かれています。

 

また、分子のPBITですが、税金だけでなく利息の影響を除く点が特徴的です。「(株主と)債権者からの投下」という点に着目しているので、債権者への“分配”ともいうべき利息を損益項目としては除外しています。

 

なお、FAのテキストにはROAの方は出てきません。

そのため、「売上高利益率と資本回転率に分解して利益率を分析する」というROAでお馴染みの操作を行う際は、営業利益と総資産ではなく、PBITCapital employedを用いる点に注意が必要です。

したがって「Asset turnover(資本回転率)を計算せよ」と出題された場合、

Sales / Capital employed×Total asset)と計算することになります。

② Gearing:ギアリング(比率)

 これは、いわば「固定版・負債比率」とでも呼べる指標で、

長期負債 /(株主資本 + 長期負債)× 100(%)

と計算されます。

 

 ここで、「負債比率」とは、

総負債 / 総資産 × 100(%)

で計算される指標であり、「企業が保有している(貸借対照表上の)すべての資産のうち、負債によって調達されている割合はどれくらいか?」を示しています。なお、「負債によって調達されて」いない残りの部分は、株主資本による調達ということになります。

 

そして、「負債比率」の分母と分子両方から、流動的・短期的な項目をそれぞれ控除したものがギアリング比率となります。

そのため、ギアリング比率は、「長期的な意図で企業へ投下された資本のうち、負債の割合がどれくらいか?」を表す指標だということになります。

(番外編)「Quick ratio」または「Acid test ratio」:当座比率

この「当座比率」は、日本でも比較的有名な指標です。

そのため、今回のテーマである「日本ではあまり馴染みが無いけれど、海外の金融業界では常識(?)』な財務指標」には該当しません。

 

しかしながら、私が印象に残ったのは、

Quick ratio

Acid test ratio 

という、その英名です。

 

たとえば、「Current ratio」であれば、容易に「流動比率」と和訳ができると思います。

 

しかしながら、Quick ratioAcid test ratioは、しばらく「当座比率」のことだとは気付かずに、この記事を書くためにGoogleで調べてみて初めて、ようやく日本語では「当座比率」と呼ばれる指標なのだと分かりました……。

 

とにもかくにも、Quick ratioAcid test ratioの計算方法ですが、

(流動資産 - 棚卸資産)/ 流動負債

です。

「流動的な負債を流動的な資産でどれだけカバーできているか?」という安全性の指標ですね。

分子から棚卸資産を控除するのは、棚卸資産は会計学上の流動資産には分類されるものの(IFRSでも日本基準でも共通です)、売れずに在庫として残り続ければ長期間現金化されないこともザラなので、流動負債をカバーする資産としては不十分だとも言えるからです。

 

 

さて、私の備忘録的に半ば走り書きみたいになってしまった今回の記事ですが、何か一つでも読者の方のお役に立てていればと願うばかりです!

 

ご閲読ありがとうございました!!

 

 


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