MA(Management Accounting)

【統計学】抽出(Sampling)の方法の見分け方【これで安心!?】

どうも、クマガワ@Kumagawa_Pro)です!

 

以前MA(Management Accounting)の概要の記事にて、

統計学の問題は、数学アレルギーでどうしても理解できなければ「捨てて」しまうのもアリです。

と申し上げました。

 

数学の能力はこれまでの学習経験によって激しく差が出るうえに、ちょっとやそっとで習得し直せるものでもありません……。

 

もっとも、統計学の分野にも、数学の知識をまったく使わずに解答できる問題もあります。

その最たるものが、抽出(Sampling)の方法を選択する問題です。具体的な事例が説明されたうえで、「この事例において使用されたSamplingの方法は何というか。次の4つから選べ」というように訊いてくるタイプの出題です。

 

ただ、抽出法どうしの違いって、英語のテキストを読んでいるだけですと、なかなか解りにくいんですよね……。

そこで今回は、統計検定2級を取得している私クマガワが、各抽出法の覚えるべきポイントを解説したいと思います! そのポイントさえ押さえておけば、それぞれの抽出法を簡単に見分けることができるようになるはずです!!

そもそも「抽出(Sampling)」とは?

大前提として、統計学における抽出(Sampling)とは、いったいどういう行為なのでしょうか?

それは、母集団(Population)から標本(Sample)を取り出すことです。

母集団(Population)とは、分析の結果をあてはめる対象となる全体の集合のことであり、大きく捉えると、研究対象となっているすべての集合です。標本(Sample)とは、その母集団から抽出した個体の集合で、母集団の部分集合のことです。

……教科書通りのちょっとお堅い説明をしてしまいましたが、要するに、

母集団(Population)⇒ 全体
標本(Sample)⇒ 母集団から取り出した一部分

ということです。

 

たとえば、「ある日本のテレビ番組の視聴率を測りたい」ということを考えましょう。

この場合、母集団は日本国民全体になります。究極的には、日本全体でどれだけその番組が視聴されているかを知りたいわけだからです。

ただ、日本国民全員にアンケートを取るのは物理的に不可能です。そこで、一部の家庭だけを選んで視聴しているかいないかのデータを集計し、視聴率を測ります。この「一部の家庭」の集まりが標本に当たります。

 

そして、繰り返しになりますが、母集団から標本を作り出すことを抽出(Sampling)といいます。

母集団からどのようにして標本を作り出すか、すなわち“抽出の方法”には様々なやり方があります。今回の本題は、それら数ある抽出法を見分けられるようになることでした。

それでは、順番に見ていきましょう!

 

Random sampling((単純)無作為抽出)

Random sampling((単純)無作為抽出)とは、母集団のすべての要素を等しい確率で抽出し、調査対象とする方法のことです。

ポイントは、

① 母集団を構成するすべての項目について、選ばれる確率が完全に等しい。

② 母集団に対してグループ分け等の余計な操作を一切しない。

ということです。

①は分かりやすいと思います。たとえば、「100人の母集団の中から10人を抽出して標本を作る」というケースであれば、100人それぞれが選ばれる確率がすべて1/100になっているということです(「同様に確からしい」というやつですね!)。

②は、後でご紹介するStratified random sampling(層化抽出法)やCluster sampling(クラスター抽出法)等と比較すると分かりやすいです。「100人を10人ずつの10個のグループに分けて、それぞれのグループから1人ずつ合計10人を抽出する……」みたいに ひと手間加えるようなことはしないということです。

 

Stratified random sampling(層化抽出法)

Stratified random sampling(層化抽出法)とは、母集団をあらかじめいくつかの層・グループ(たとえば、性別年代別職業別)に分けておき、各層の中から必要な数の調査対象を無作為に抽出する方法のことです。

ポイントは、

① 母集団をグループ分けしてから抽出を行う。

② Multistage、ClusterおよびQuota samplingに該当しない。

ということです。

②についてご説明します。後でご紹介するMultistage sampling(多段抽出法)、Cluster sampling(クラスター抽出法)およびQuota sampling(割当法)においても、「母集団をグループ分けする」というプロセスが存在します。ただ、これら3つについては、ただ単にグループ分けをするだけに止まりません。さらにそこから、それぞれ独自の手法が加わります。つまり、さらに際立った特徴があるのです。反対に、Stratified random sampling(層化抽出法)は、グループ分けを行う以外の特徴が無いともいえます。

この「特徴が無いのが特徴」というのは、抽出法を見分ける問題を解くのにあたって大切になる視点です。

 

Systematic sampling(系統抽出法)

Systematic sampling(系統抽出法)とは、通し番号をつけた名簿を作成し、1番目の調査対象を無作為に選び、2番目以降の調査対象を一定の間隔で抽出する方法のことです。

「~番目」「nth」というのがキーワードです。

たとえば、100人の中から10人を抽出する場合に、5番目(5th)の人が最初に選ばれたとしたら、そこからは機械的に15番目(15th)、25番目(25番目)、35番目(35th)、……、95番目(95th)の人たちが選択されることになります。

このSystematic sampling(系統抽出法)は、他の抽出法と比べて見分けが非常に付きやすいと思います。

 

Multistage sampling(多段抽出法)

Multistage sampling(多段抽出法)とは、母集団をいくつかのグループに分け、そこから無作為抽出でいくつかグループを選び、さらにその中から無作為抽出でいくつかのグループを選び・・・という操作を繰り返して、最終的に選ばれたグループの中から調査対象を無作為抽出する方法のことです。

たとえば、全国の中学校に関する調査を行いたいという時に、まずいくつかの都道府県を抽出し、各県からいくつかの学校を抽出し、それらの学校の組(クラス)を抽出し、そこから生徒を抽出する、というように標本を作成します。

ポイントグループ分けを2回以上行うということです。分けたグループに対してさらにグループ分けを行うという操作を繰り返します。

このMultistage sampling(多段抽出法)も比較的簡単に見分けることができると思います。

 

Cluster sampling(クラスター抽出法/集落抽出法)

Cluster sampling(クラスター抽出法/集落抽出法)とは、まず母集団を網羅的に分割して小集団(クラスター)を構成し、次にいくつかのクラスターを抽出して、その成員全員を調査対象とする方法のことです。

たとえば、高校生の平均身長を調査する際に、高校を1つのクラスターと考え、全国の高校の中からランダムに10校を選び、その10校に通う高校生全員の身長を測定する、といった方法です。

 

一見、今までにご紹介したStratified random sampling(層化抽出法)等と見分けが付きにくいです。しかし、決定的な違いがあります。

ポイントは、選択したクラスターに対しては、その構成員すべてを調査するというところです。先ほどの高校の例であれば、「10校に通う高校生全員の身長を測定する」という部分が極めて重要です。10校に通う生徒のうち何人かを抽出して……、ではありません。

 

Quota sampling(割当法)

Quota sampling(割当法)とは、標本として選ぶべき調査対象の数を、属性ごとに指定しておき、その条件が満たされるまで任意の調査対象を選び出す方法のことです。

たとえば、マーケティング調査において、「20代男性:20人、20代女性:40人、30代男性:30人、30代女性:50人、……」というように調査対象の人数の割当てが先に決められており、割り当てられた人数に達するまでひたすら電話をかけてアンケートを行う、といった事例です。

ポイントは、

① 目標人数(割当て)に到達するまでは出会ったすべての人たちを調査対象とする。

抽出の方法は問わない。無作為(random)であってもなくてもOK!

ということです。

 

なお、Quota sampling(割当法)については、BPP(※ACCAの予備校です。テキスト等の書籍を市販しているので、私はそれを利用しております)のテキストに載っている表現をそのまま覚えた方がわかりやすいかもしれません。

Investigators are told to interview all the people they meet up to a certain quota.

この「all the people they meet」というのが、Quota sampling(割当法)の特徴を端的に表していると思います。

 

 

今回はここまでです。

ご閲読ありがとうございました!

 

※参考文献・サイト

『改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎』

統計Web『16-3. 標本の抽出方法』※外部リンクにジャンプ

 


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