どうも、クマガワ(@Kumagawa_Pro)です!
今回は、
Debit note(デビットノート)
Credit note(クレジットノート)
についてお話ししたいと思います。
これらは、ACCA(英国勅許公認会計士)のFA(Financial Accounting)という科目に登場する用語です。
そもそもこのFAという科目、非常に初歩的な内容も含まれます。「経理の仕事ではどのような書類(証憑)を元に取引を記帳するのか?」ということもテキストに書かれています。
Quotation(見積書)
Order(発注書)
Invoice(請求書)
Receipt(レシート)
といった日本でもおなじみの書類が並ぶ中で、「ん? 何これ?」とひときわ目を引くと思われるのが、今回のテーマであるDebit note(デビットノート)とCredit note(クレジットノート)なのです。
そもそもDebit/Credit noteとは?
日本の経理実務ではほとんど馴染みがないためか、日本語訳が存在しません。カタカナで「デビットノート」「クレジットノート」と呼ぶのが一般的なようです。
そして、インターネットで「デビットノート」や「クレジットノート」を検索すると、貿易事務関連のページが多くヒットします。デビットノートとクレジットノートは、日本では経理用語ではなく貿易用語として扱われる傾向にあることが分かります。
とにもかくにも、デビットノートとクレジットノートは、
マイナスの請求書(Negative invoice)
のことだと考えると分かりやすいです。
商品を返品したり、代金を支払い過ぎていたりした際に、買掛金や売掛金を減額するために発行する書面、だということです。
そして、デビットノートとクレジットノートの違いですが、
買い手(顧客)が売り手(供給者)に対して発行する
⇒ Debit note(デビットノート)
売り手(供給者)が買い手(顧客)に対して発行する
⇒ Credit note(クレジットノート)
というように区別されます。
どっちがどっちだか分かりにくいんだけど……?
「デビットノートは買い手の方から発行して、クレジットノートは売り手の方から発行する」
……とは言うものの、正直、文字だけ見てても分かりにくくありませんか? 試験本番で焦っていたら、思わずごっちゃにしてしまいそうです 苦笑。
ここでポイントになってくるのが、
発行者の立場に立って、買掛金or売掛金が借方(Debit)に動くのか、それとも貸方(Credit)に動くのか
という考え方です。
まず、Debit note(デビットノート)の方を見ていきましょう。
発行者は買い手(顧客)側なので、商品を返品すると、それに応じて買掛金が減少します。買掛金は会計上の負債ですので、減る時は借方(Debit)側に移動します。
仕訳でいうとこんな感じです。
買掛金 〇〇 / 仕入 〇〇
次に、Credit note(クレジットノート)の方は、
発行者は売り手(供給者)側なので、商品が返品されると、その分売掛金が減少します。売掛金は会計上の資産ですから、減少時は貸方(Credit)側に移動します。
仕訳はこんな感じですね。
売上 〇〇 / 売掛金 〇〇
以上のように、発行者が行う仕訳をイメージして、買掛金or売掛金が借方(Debit)の方にいくのか、それとも貸方(Credit)の方にいくのかを考えれば、デビットノートとクレジットノートの区別は非常にわかりやすくなります!
そもそもなぜDebit=借方でCredit=貸方? +α
「デビットノートとクレジットノートの区別の仕方はわかったけど、そもそもDebitが借方(左側)でCreditが貸方(右側)ということ自体がわかりにくいよ!」という声があるかもしれません。
これは、Creditは「信用」のことであると考えれば、スッキリするのではないでしょうか?
貸借対照表上、貸方には負債と資本(※正確には純資産)が計上されます。負債は債権者から、資本は出資者(≒株主)からそれぞれ「信用」を受けて託された資金といえます。それゆえ、貸方(右側)には「信用」を意味するCreditという名称が付けられたという、というわけです。
なお、Debitが借方(左側)なのは、Debitに「借金、負債」という意味があるから借方というようです。
ただし、この覚え方は混乱を招きかねないと思います。というのも、会計上、負債は借方ではなく貸方に計上されるからです。「Debit=借金、負債」ということを意識し過ぎてしまうと、むしろDebitが貸方のように思えてきてしまうことでしょう……。
実は、借方の「借」は、銀行にとっての借金という意味に近いのです。すなわち、私たちにとっては預金を意味します。預金は資産ですから、借方には資産が計上されるというカラクリなのです。
個人的には、デビットカードのことをイメージすると、「Debit=借方(左側)」と覚えやすくなると考えています。デビットカードは、使った瞬間に口座から預金が引き落とされます。クレジットカードのように一時的に借金をしているわけではありません。ということは、デビットカードは、実質的に預金そのものを持ち歩いているとも言えます。預金は資産ですから、デビット:Debitは資産が計上される借方を意味するというわけです。……多少こじつけ感が否めませんが、このように覚えると多少はわかりやすくなるのではないでしょうか? 汗
ちなみにですが、「DebitとかCreditとか以前に、『借方』や『貸方』という日本語自体が覚えにくいよ!」という方は、以下のサイトをご参考にしてみて下さい。
借方・貸方のカンタンな覚え方・語源を踏まえた覚え方(※外部リンクに飛びます)
「方」というのは「人」を意味しているので、「借方=借りている人、貸方=貸している人」というニュアンスがあります。自分から借りている人の金額=自分にとっては資産は「借方」に計上され、自分に貸している人の金額=自分にとっては負債は「貸方」に計上されるのです。
今回は以上でございます。
ご閲読ありがとうございました!
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