ACCAの勉強方法

ACCAの論述問題(記述問題)の学習方法について<総論編>

どうも、クマガワ@Kumagawa_Pro)です!

 

さて、今日も今日とて、ACCA(英国勅許公認会計士)のことについてお話ししていきたいと思います。

 

今回のテーマは論述問題(記述問題)の勉強法です。

 

ACCAの試験は、選択式や穴埋め等の短答型の問題だけではなく、

論述式/記述式の問題も出題されます。

しかも、試験におけるウェイトが結構大きいです。

具体的には、

・Skills Moduleの各科目(※LWとAAを除く)は配点の40%
・AAは配点の60%
・Professional Moduleの各科目に至っては、論述/記述の問題が100%で、短答型は一切無し!

という問題構成になっています。

 

そのため、ACCAにおいては、論述問題/記述問題の対策が非常に重要となります。

この点は、ほぼ全て短答式の問題で構成されているUSCPAの試験とは大きく異なります。

 

……ただ、ACCAに限らず、論述問題/記述問題って、対策のやり方が正直よく分からないと思いませんか?

短答式の問題であれば、「問題集をひたすら繰り返し解く」のが試験対策として“究極にして至高!”と言えるのですが、

論述式/記述式の場合はそうはいきません。

・論述式/記述式は問題文が非常に長いため、過去問での出題数にせよ、問題集での収録数にせよ、この世に存在する問題の数がどうしても少なくなってしまう。そのため、問題を繰り返し解くだけでは、網羅性の面で不安が残る。

・解答の自由度が高過ぎるため、何を書けば正解なのか分かりにくい。そのため、試験本番でスムーズに解答を書けるようにするためには、一定の作法やテクニックを覚えたり、論述/記述で使いやすいように知識を整理・再構成したりしておく必要がある。

・解答の際は長文を書く必要があるため、問題を解くこと自体の負担が短答式とは比べ物にならない。そのため、そもそも「問題を繰り返し解く」ことをしたくない……。

といった理由からです。

 

そこで今回は、実際にクマガワ自身がどのような方法で論述問題/記述問題の勉強をしたのか? をご紹介します! 受験生各位の試験対策のヒントになれば幸いです。

 

なお、ここまでは「論述」と「記述」を併記する形でご説明してきましたが、

ここからは、どちらか一つの言葉だけを、互いに織り交ぜつつ使っていきたいと思います。

(併記したり織り交ぜたりするのは、裏事情をぶっちゃけますと、検索エンジン上でのキーワードを意識してのことです……。「論述」でも「記述」でも、どちらからでもこの記事に辿り着いてほしいので!)

ただ、「論述」も「記述」もどちらも同じ意味だとお考えください!

どちらも「選択式や穴埋め等の短答型の問題ではない。」ということを意図しております。

 

勉強のプロセスの全体像

まず、論述式の問題が出題される科目について、ある一つの科目を勉強する際の大まかな流れをご紹介します。

なお、ここで言う「大まかな流れ」には、記述問題だけではなく、短答問題の対策も含んでおります。すなわち、その科目“自体”の試験勉強のフローを表しています。

 

それでは早速、その「大まかな流れ」をお見せいたします。

受験勉強中、おおよそ以下の流れに沿って、私は各科目の学習を進めておりました。

① テキストを何周か読み込む。

     +

①´ Skills Moduleの科目FR,AA,TX,FM,PM)については、問題集に収録されている短答式の問題を何周か繰り返し解く。

     ↓

② 問題集に収録されている記述式の問題について、計算問題の部分だけを何周か解く。AAとAAAは除きます。)

     ↓

③ 記述式の問題について、計算以外の残りの部分の対策を行う。

 

以下、上記の各ステップについて、それぞれ補足をしていきます。

 

① テキストを何周か読み込む。

まずは知識を頭に入れるところから始めます。

対象の科目について十分な量の知識が身に付いていなければ、その先何も進みません。論述問題どころか短答式の問題にすら手を出せません。

 

①´ Skills Moduleの科目(FR,AA,TX,FM,PM)については、問題集に収録されている短答式の問題を何周か繰り返し解く。

テキストを読み終えた直後に、あるいは、読み進めるのと併行して、

短答式の問題演習をしていきます。

テキストの知識が頭の中に入ってまだ新しいうちに問題に取り組めば、効率良く解き進めていくことができます。

また、テキストで“インプット”した知識を問題演習によって“アウトプット”することで、知識の定着につながります。これは、記述問題の対策に備えて知識の量と質を高めるという意味でも有用です。

 

② 問題集に収録されている記述式の問題について、計算問題の部分だけを何周か解く。AAとAAAは除きます。)

テキストを読み込み、Skills Moduleについては短答問題の演習も完了したら、いよいよ論述問題の対策に入ります。

ただ、一口に「論述問題」と言っても、小問レベルで見ていくと、その内容は大きく2種類に分かれます。一つは、文章を書いて文字通り「論述」することにより解答する問題です。そしてもう一つが、何らかの計算の結果や過程を示す問題です。たとえば「財務諸表を作れ。」という出題は、まさにその典型例だといえます。

このタイプの問題(=計算問題)については、特別な対策はあまり必要無いと思います。テキストや短答問題で身に付けた知識を総動員し、「一つの正解」を目指して淡々と作業をこなしていくだけだからです。

計算問題と絡めて文章による記述や説明を補足的に書かせる設問もありますが、計算のプロセスをありのままに説明したり、計算の結果から素直に導ける結論を記述したりする程度のものです。計算の部分さえしっかりと解けていれば、書くべき内容に困ることは無い筈です。

 

以上で見てきたように、記述式の問題のうち計算の部分については、知識の習得さえしっかりやっておけば、そんなに身構える必要は無いと言えます。問題演習を通じて知識の「実践的な使い方」を練習するだけで足りるでしょう。その意味では、むしろ短答型に近いです。

そのため、論述問題の中でも計算の部分だけは、文字通りに「論述」させる問題とは切り離して先に手を付ける作戦が有効だと考えた次第です。

 

なお、表題に「※AAとAAAは除きます。」とあるのは、これら2科目の記述式問題には計算問題がほぼ100%含まれないためです。

 

③ 記述式の問題について、計算以外の残りの部分の対策を行う。

さて、ようやくこの記事の本題とも呼べるところにやってまいりました。

論述式の問題のうち、計算問題の部分を除いた、読んで字のごとく「論述」タイプの問題への対策方法です。

 

この点については、次の章で詳しくお話ししたいとと思います!

 

論述問題への対策を詳細に解説!

使用するのは問題集です。でも解きません!

「問題集なのに解かないでどうするんだ?」と思われるかもしれませんが、

問題集を使いながら論述対策用の教材を自作するということを私はやっておりました。

 

たとえば、ほとんどの科目で私が実践していたのが、

各問題について「問題文の概要と解答のポイント」を主に日本語で書き溜めておくという勉強法です。

具体的には、以下のような文章を、問題集に収録されている論述問題それぞれについて、一つ一つ作成していきました。

※私が実際に作成した「自作の教材」から抜粋・編集したものです。題材はBPP社のSBLの問題集に掲載されていた問題の一つです。

21 Cronin Auto Retail
[会社の概要等、問題の設定の概略]

-中古車販売を営む企業である。ただし、車の仕入れはオークションへの入札によって行っている。

-After serviceやRepair serviceを拡大したいと考えている。

-しかし、procurement managerがボトルネックとなっているせいで、アフターサービスや修理を行うために必要な部品の購入がしばしば遅れてしまう。なお、同様の問題は、社内用の事務用品の購入についても生じている。

 

[小問(a)の要約]

E-marketingのinteractivity、intelligence、individualisation及びindependence of locationのprinciplesが、この企業に関していかに適用されるかをevaluateせよ。

 

☆テキストの中でこの問題との関連性が強い箇所→P.382-383

 

[解答のポイント]

6つの“I” ~e-marketingの特徴

Interactivity

顧客との双方向のコミュニケーションを可能とする。顧客の方からcontactをくれることも起こるようになる。その結果、‘push’ではなく‘pull’型のmarketingが実現できる。

Intelligence

インターネットを介してマーケティングに関する情報を得る方法(アクセス分析等)は、従来の手段よりも安価で行えるうえに良質な情報を取得することができる。

Individualisation

個々の顧客にtailoredされたメッセージを発信することができる。

Integration

E-marketingは、他のマーケティングのchannelsと統合することができる。たとえば、オンライン上でvoucherを提供したり、電話のコールバックと併用したりする等。

Industry structure

E-marketingは、業界の構造を根本から変化させる可能性を有する。

Independence of location

場所に捉われないビジネスが可能となる。遠隔地の顧客に販売できる等。

 

〇以下、設問の企業に“当てはめ”

【Interactivity】

>既存の顧客全員に郵便で送っているDMを、e-mailに切り替えることができる。これにより、費用の節約ができる。しかし、これはまだ‘push’型のマーケティングであり、‘pull’な手法も導入する必要がある。

>‘Pull’型の手法としては、以下のような施策が考えられる。

>>試乗や修理をonlineで予約できるようにする。

>>Discussion threadを自社のwebsiteに設置する。

>>Feedbackをwebsite上で提供してくれるよう顧客に促す。

【Intelligence】

>現状はbuyer達が「顧客はどういう車が欲しいのか?」を想像して車を買い付けているが、e-marketingを活用すれば、「顧客がどういう車を欲しがっているのか」を本当の意味で理解できるようになる。

【Individualisation】

>ある特定の車種に興味を示している潜在顧客に対してその車に関する販促のメッセージを送付する等、個々の顧客に応じたmarketingを行うことができるようになる。

>アフターサービスの品質向上も期待できる。個々の顧客に関するデータを保持しておけば、たとえば車検切れが近い顧客に対して更新の案内をするといった対応が可能となる。

>ただし、individualisationの恩恵を十分に受けるためには、sufficient detailsがcollectされている必要がある。

【Independence of location】

>この点は、設問の企業にとってあまり有用とは言い難い。なぜなら、顧客の大半が近隣の住民であることが問題文で示されており、かつ、扱っている商品が競争相手の多いcommoditiesだからである。また、車という商品の性質上、オンラインだけで商談が完結することは珍しいであろう(実物を確認したり、試乗したりすることを顧客は望む筈である)。そのため、本来的に言っても、遠隔地の顧客を取り込むことはどうしても難しい。

>また、最近店舗を長期間リースする契約を結んだばかりという旨が示されており、「場所に捉われる必要が無くなったので、もっと安い所に移転しよう」という選択を取ることも困難である。

>ただし、顧客や潜在顧客が24時間365日どこからでも商品の情報にアクセスできるようになる点は、有意義といえる。

(以下省略)

 

以上の具体例から分かるように、問題文や設例に関する最低限の情報を書きとめたうえで、問題集に載っている模範解答を和訳して要約することが作業の中心になります。

なお、解答の要約部分を作成する際は、

「テキストにも載っているような一般的・汎用的な内容」

「一般的な知識を具体的に当てはめた結論等、その問題独自の内容」とを区別するとよいと思います。

そして、前者の「一般的・汎用的な内容」については、テキストの内容を使って模範解答の内容を適宜補足するのがオススメです。そうすれば、後で見返す際、効率的かつ効果的に復習ができます。

上記の具体例で言いますと、「6つの“I” ~e-marketingの特徴」の部分が「一般的・汎用的な内容」に該当します。

 

なお、「和訳」とは言いつつも、上記の具体例にはところどころ英語のままの箇所がございます。実際の試験では問題も英語で読んで解答も英語で書きますので、厳密に全てを日本語に直すのは無駄な労力と言えるでしょう。英語と日本語が入り混じった文章でOKだと思います(某ルー大柴さんのようなイメージですね! 笑)。

また、試験本番では解答を英語で書く以上、敢えて日本語にせずに英語のままで覚えるべき事柄も多々あります。たとえば、語句の定義などは、英語そのままで覚えた方が基本的にはよいです(ただし、厳密な定義までは覚える必要が無い語句については、日本語で覚えてそれを英語に直すというのもアリだと思います。)。

 

『問題文の概要と解答のポイント』以外にも、必要に応じて補助教材も適宜作成しておりました。

たとえば、

・テキストの要点を抜き出して整理した『総復習用の冊子』

・暗記が必要な事項だけをまとめた『暗記用ノート』

・難解な概念について自分なりの補足も加えて深掘りした『解説文書』

といった資料を、科目ごとの性質や私自身の理解度等を考慮して、臨機応変に製作いたしました。

 

なお、『問題文の概要と解答のポイント』にせよ、その他の補助教材にせよ、

作成した後は、試験の日まで何度も見返すことが前提になっています。

教材を作っただけで復習をしなければ、効果は半減()は言うまでもないと思います。

 

補記:家の外で「教材を自作」する際は適切なパソコンを選びましょう!

以上のように、私が推奨する論述問題の勉強方法は、『問題文の概要と解答のポイント』やその他の補助教材といった「教材を自作する」というものです。

ただ、この勉強法は、当然ながら大量の文章を書くことになります。そのため、私はほとんど全て作業をパソコンで行っておりました。手で書いていては腱鞘炎になってしまうことが目に見えていましたので…… 苦笑

そして、私は自宅以外にも、職場のカフェテリアで勉強をすることが多かったです。また、読者の皆様も、ご自宅ではなく喫茶店や自習室等で勉強をされる方も多いかと存じます。

それゆえ、「教材を自作する」という勉強法を実践するためには、外出中でも使いやすいPCを用意する必要がございます。

 

その点、個人的にオススメなのが、2 in1 PCとも呼ばれるタブレット型の端末です。

コンパクトなため持ち運びがしやすく、また、キーボードが分離できる(※元々キーボードが付いていないタイプもあります。)点も携帯の便利さに拍車を掛けています!

なお、私が実際に使用していたのは、これ↓と類似する系統の機種(CHUWI UBook X)でした。

低価格ながら、「Wordで文章を作成する」「インターネットやクラウドに接続する」といった、教材の作成に必要な操作は満足に行うことができました。要するにめっちゃコスパが良い!というやつですね♪

 

なお、キーボードの無いタブレット型のパソコンを裸で持ち歩いても仕方がありませんので、

・キーボード(テンキー無し)

・マウス

・テンキー

・USBの拡張ハブ

・ケース

といった付属品も合わせて購入し、パソコンと一緒に携帯しておりました。

※以下は全て、私が実際に購入して使用した製品です!!

 

なお、キーボードとテンキーを分離しているのは、持ち運びを便利にするためです。テンキーまで付いているキーボードですと、どうしても長くてかさばってしまい、バッグとかにも入りにくくなってしまいますので……。

 

「教材を自作」する勉強法のメリットや懸念点など

さて、改めて申し上げますが、

ACCAの記述式の問題の対策として、私自身が実際に採用し、また、皆様にもお勧めしたい学習方法が、

問題集等を題材に自作の教材を作成していくというものでした。

そして、「自作の教材」の中でも中心的な存在になるのが『問題文の概要と解答のポイント』でございました。

 

それでは、この勉強方法について、メリット懸念点(+その回答)を掘り下げていきたいと思います。

 

メリットの数々

問題集を解かなくても済む!

メリットの一つ目が、問題集に収録されている論述問題の数々を、まともに真正面から解答せずに済むということです。

ACCAの論述問題は、実際に解答を書こうとすると長文の英語を作成しなければなりません。当然そのためには、大量の時間が必要になりますし、精神的にも肉体的にもかなりのエネルギーを使います。問題集に載っている全ての記述式問題について解答を作成するというのは、正直現実的ではないと思います。

その点、「教材を自作」する学習法では、問題と模範解答をいきなり読んでしまいますので、解答を書くというプロセスを丸々省略できます。その結果、時間やエネルギーの節約になり、数多くの問題に触れることが可能になります。

 

「何を、どれくらい、どのように書けばよいか?」が掴める!

「教材を自作」する勉強法では、模範解答から「解答のポイント」を抽出して書き留めていく作業を繰り返すことになります。その結果、

「この手の問題に対しては、こういうことを書けばいいんだな」

「この科目は、一般的な知識の説明よりも、それを具体的な事情に対して適用した部分を手厚く書かなくてはいけないんだな…」

「この知識はこういう風に使っていくのか!」

といったように、記述式問題における“解答の勘所”が身をもって体験できます。

その結果、「解答の自由度が高過ぎるため、何を書けば正解なのか分かりにくい。」という、論述問題独特の難しさへの対策につながります。

 

「和訳」と「要約」だけでかなり勉強になる!

前述の通り、「教材を自作」する勉強法を採用すると、ほとんどの科目で『問題文の概要と解答のポイント』の資料を作成することになります。

そして、この『問題文の概要と解答のポイント』を作る際は、英語で書かれている模範解答を頭の中で日本語へ和訳したうえで、必要なポイントを要約して整理する作業を行います。(厳密には、必ずしも「和訳→要約・整理」の順番とは限りません。「英語のまま要約・整理→それを和訳して書き記す」の順番になることもあります。両者を適切に織り交ぜて使い分けるイメージです!)

 

この点、まず、英語の文章を脳内で和訳するというだけでも、書かれている内容の理解及び定着に寄与します。和訳ができるということは、当然、その文章の意味をしっかりと解釈できている必要がありますので。

すなわち、必然的に目の前の文章にしっかりと向き合うことになります。いわば「言語の壁を逆手に取る」といった感じでしょうか!

 

さらに、模範解答をそのまま丸ごと和訳して書き記すのではなく、重要な情報だけを要約・整理するプロセスを通すことも、理解度の向上につながります。問題の意図や文脈を踏まえつつ模範解答の内容を理解できていなければ、適切に要点をまとめることはできないからです。

 

以上より、「教材を自作」する作業自体が、「和訳」及び「要約」の効果のおかげで非常に勉強になります。

これは、ただ模範解答を読むだけだったり、既に出来上がった教材を入手して使ったりするのとは、大きく異なる点だといえるでしょう。

……まぁ、その分「読むだけ」の勉強法よりもずっと大変になるんですけどね 苦笑

 

試験本番に向けて最高効率で復習ができる!

「自作の教材」は、作るのはかなり大変ですが、一度完成してしまえば最強の「復習用の教材」になります!

まず、他でもない「自分にとって必要な情報」が取捨選別されて一つにまとまっているからです。たとえば『問題文の概要と解答のポイント』の資料については、「この部分は試験本番では使いにくそうだな……」と感じた箇所等は、模範解答から排除して記録に残すことになります。その他の補助教材については、そもそも自分の弱点を補強するために作成するのが主な役割です。

また、「自作の教材」の内容は頭に定着するのも早いです。一度は自分自身で労力をかけて書き上げていますので、その内容はしっかりと頭の奥底に刻まれている筈です。そのため、復習期に見返した際、「あぁそうそう、こうだった!」と容易に思い出すことができます。そして、思い出すことが容易ということは、スムーズに脳内へ定着させられるということでもあります。

 

懸念点とそれに対する回答(Q&A集的なもの)

教材を自作するなんて大変じゃない?

……はい、正直大変です 苦笑

特に、ほとんどの科目で必要となる『問題文の概要と解答のポイント』の作成は、要するに「問題集の論述問題とその模範解答を全て読んで、要点をWordに書き写していきましょう!」という作業ですからね。記述量としては、薄めの本が1科目につき1~数冊書けてしまうぐらいになります。

 

ただ、それでも、記述式の問題を全てまともに解いていくより遥かに負担は少ない筈です。

 

また、「教材の自作」までは行わず、問題と模範解答を繰り返し読むだけにとどめる学習法も考えられます。ただ、私個人的には、この方法では論述問題の対策として不十分だと思います。

「読むだけ」の勉強法は、どうしても頭の使い方が受動的になりがちです。

この点、論述式の問題では、自由にどんな解答でも書ける中で、得点につながりやすい内容と形式を自分自身で的確に判断しながら解答を記述していくことになります。すなわち、頭の中の知識を適切に取捨選別したり、変形したり繋ぎ合わせたりするという、“能動的”な思考が必要なのです。

そのため、「読むだけ」の勉強により知識を“受動的”に身に付けるだけでは、やはり不安だと言わざるを得ません。それよりも、「教材を自作」することによって、問題と解答をじっくりと読んでしっかりと理解し、そのうえで和訳や要約及び整理を行うという、“能動的”な工程を踏むべきです。

 

以上の通り、問題を解いていくのはもっと大変ですし、読むだけの勉強法では不十分ということで、

結局、かなり負担が大きいとはいえ「教材を自作」する勉強方法が記述式対策としては一番良いと考えます。

(ぶっちゃけ消去法ですね! 苦笑)

 

なお、「負担が大きくて大変」とはいっても、本気になれば十分スピーディにこなせる量だと思います。

私自身の例で恐縮ですが、「教材を自作」する学習スタイルを貫きながら、フルタイムで働きつつ3カ月に1科目(or 6カ月で2科目)のペースで順調に合格を積み重ねることができました!

 

網羅性は問題無いのか?

この記事の冒頭にて、私はこんなことを申し上げました。

・論述式/記述式は問題文が非常に長いため、過去問での出題数にせよ、問題集での収録数にせよ、この世に存在する問題の数がどうしても少なくなってしまう。そのため、問題を繰り返し解くだけでは、網羅性の面で不安が残る。

 

「問題集を題材に教材を自作する」学習方法では、この障害が解消できていないようにも思えます。すなわち、問題集に収録されている問題を使うだけでは、試験範囲全体を十分にカバーできていないのではないか? という懸念が残りそうです。

 

結論から申し上げますと、この点はほぼ大丈夫でした。

ほとんどの科目について、問題集1冊(※)を丸々使って『問題文の概要と解答のポイント』を作成し、復習を適切に行えば、記述式の問題を解くために必要な知識は十分満足に習得することができました。

※私はBPP社のものを使用しておりました。Kaplan社ではなく。

 

ただし、一部の科目については、問題集1冊分の『問題文の概要と解答のポイント』だけでは若干不安を感じました。そのため、適宜追加の対策を行いました。

たとえば、SBRSBLについては、BPP社のものだけではなく、Kaplan社の問題集も追加で購入して『問題文の概要と解答のポイント』を作成いたしました。


その他、SBLAPMは、テキスト等を元に作成した「補助教材」の分量がかなり多くなりました。

 

この辺りの内容、つまり科目に応じた論述対策のアレンジについては、次回の記事にて詳しくお話ししたいと考えております!

 

実際に本番と同じ条件で問題を解かなくても大丈夫なのか?

繰り返しになりますが、論述問題の対策として私が推奨しているのは、問題集に載っている問題を「解かない」勉強法です。問題集はあくまでも「教材を自作」するための“材料”として使います。

ですので、「実際に問題を解く練習をしないなんて、試験本番でちゃんと問題を解くことができるのか?」という疑問が当然生じるかと思います。

 

結果的には、少なくとも私は大丈夫でした!

記述式の問題うち文字通り「論述」をさせる設問については、受験勉強全体を通してほぼ一切、実際に解答を書き上げる訓練はしなかったです。

 

また、私に限らず、そもそも資格試験の会計学系の論述問題って、解答の作法やテクニックはあまり必要性ないと思います。テキストの知識を「論述問題に使える形」(※)で頭に入れ直しておけば、それで十分な気がいたします。

※たとえば、重要な用語の定義や要件を記憶したり、ある制度や概念のメリット・デメリット等を覚えたり、「〇〇ときたら、△△、□□、◇◇という手法が使えるな!」みたいな感じで問題解決の手数を増やしたり、etc…

 

この点は、司法試験や中小企業診断士の論述問題と比較すると分かりやすいかもしれません。

これらの試験では、知識を使って「問題を解決する」ところまで求められます。

司法試験であれば、トラブルや犯罪を描写した事例が与えられるので、それに対し法律や判例等を使って妥当な結論を導き出します。中小企業診断士の方は、経営的な問題を抱えた企業が登場するので、経営学等の知見を交えつつ、その問題の解決策を提示することになります。

「問題を解決する」ことが解答の根幹ですから、知識を羅列したり繋げ合わせたりするだけでは足りません。適切な結論が導けるように「知識の上手な使い方」を習得する必要があります。そのため、司法試験や中小企業診断士の論述問題が解けるようになるためには、実際に問題を解いて「知識の上手な使い方」を訓練することが、相当程度必要になると思われます(私の知る限り、少なくとも司法試験では、“答案練習会”という定期的(※週に1回etc)に開催される模擬試験が重要視されるようです。)。

 

一方、会計学系の記述式問題では、「問題を解決する」ところまでは求められないのが普通です。そのため、定義や要件、メリットやデメリット等、抽象的な内容をしっかりと書けるようになっていれば十分な筈です。

なお、実際の試験問題では具体的なケースに即した結論まで書くことが求められることも多いですが、抽象的な知識から素直に導き出せるものがほとんどです。

 

以上の議論からしますと、ACCAの論述問題は、実際に問題を解く練習まで行わなくても、試験本番でちゃんと解答が書けるようになる筈と言えそうです。

 

とはいえ、「実際に手を動かして問題を解いたことが一度も無いまま試験本番に臨むのは、やっぱり不安だ!」という気持ちが拭えなくても不思議ではございません。

その場合は、問題集の一部は敢えて手を付けずに、直前期まで残しておくのはいかがでしょうか? たとえば、BPP社の問題集には後ろの方にMock Examsが数問付いています。それらについては教材の“材料”にはせず、勉強の総仕上げに練習問題として使うのはどうでしょうか?

 

この点、SBLAPMに関しては、実際に解答を書き上げる訓練を行う必要性が大きいかもしれません。

といいますのも、これらの科目は会計学ではなく経営学寄りの内容だからです。論述問題の傾向も、むしろ中小企業診断士に近いといえます。「経営的な問題を抱えた企業の問題を解決する」要素も大いに含まれています。そのため、中小企業診断士と同様に、「知識の上手な使い方」を練習することが本来は重要なのかもしれません。

実際に、これら2科目については、問題を解く訓練をしてなかったせいか、私は高得点が取れませんでした……。(SBLは57点、APMに至っては51点と本当にギリギリでした!)

 

 

長くなりましたが、今回はここまでです。

 

なお、今回の記事の内容は、科目ごとの違いをあまり意識しておりません。すなわち、全ての科目に共通するような総論的なお話が中心になっています。

ただ、実際には、科目ごとに論述問題の学習方法を少しずつ変えておりました。その詳細については、次回の記事で補足したいと思います。

 

ご閲読ありがとうございました!

 

 


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