FA(Financial Accounting)

FA(Financial accounting)の概要

どうも、クマガワ@Kumagawa_Pro)です!

2020年4月現在、日本は某ウィルスのせいで大変な騒ぎになっておりますが、こんな時だからこそ、よりいっそう自己研鑽に励み、じっと力を蓄えることが大切だと思ってやまない今日この頃です!

 

さて、前回前々回と、ACCA(英国勅許公認会計士)の最初のレベルであるFundamental Level‐Knowledge ModuleのAB(Accountant in Business)とMA(Management Accounting)について、その概要を説明してまいりました。

 

今回は、残る一つの科目であるFA(Financial Accounting)について解説していきたいと思います。

 

ちなみに私、この科目はABとMAよりも前に、最初に合格済みでございます。

その時の「受験体験記」的な記事もございますので、そちらもよろしければご覧になって頂けますと幸いです。

 

それでは、改めまして、FA(Financial Accounting)という科目が一体どんなものなのか?

 

FA(Financial Accounting)の概要

 

をお話ししていきます!

 

※なお、今回の記事は、全体を通して2020年4月現在の情報を元に作成されています。

 

FAの全体像

まずは、FAという科目の全体像を見ていきます。

以下、私が使用したテキスト(BPP出版のもの)の「目次」からの抜粋です。

 Part A: The context and purpose of financial reporting

  1. Introduction to accounting
  2. The regulatory framework

Part B: The qualitative characteristics of financial information

  1. The qualitative characteristics of financial information

Part C: The use of double entry and accounting systems

  1. Sources, records and books of prime entry
  2. Ledger accounts and double entry
  3. From trial balance to financial statements

Part D: Recording transactions and events

  1. Inventory
  2. Tangible non-current assets
  3. Intangible non-current assets
  4. Accruals and prepayments
  5. Provisions and contingencies
  6. Irrecoverable debts and allowances
  7. Sales tax

Part E: Preparing a trial balance

  1. Control accounts
  2. Bank reconciliations
  3. Correction of errors

Part F: Preparing basic financial statements

  1. Incomplete records
  2. Preparation of financial statements for sole traders
  3. Introduction to company accounting
  4. Preparation of financial statements for companies
  5. Events after the reporting period
  6. Statements of cash flows

Part G: Preparing simple consolidated financial statements

  1. Introduction to consolidated financial statements
  2. The consolidated statement of financial position
  3. The consolidated statement of profit or loss

Part H: Interpretation of financial statements

  1. Interpretation of financial statements

以下、私なりに和訳(“意訳”となっている箇所も多々あります)いたしました。

Part A: 財務報告を取り巻く環境、財務報告の目的

  1. 「会計」への入門
  2. 会計に関する規制やルールの枠組み

Part B: 財務情報の質的特性

  1. 財務情報の質的特性

Part C: 複式簿記および会計システムの利用

  1. 原始記入のための情報源、記録および帳簿
  2. 元帳と複式簿記
  3. 試算表をもとに財務諸表を作成する

Part D: 取引と事象の記録

  1. 棚卸資産
  2. 有形固定資産
  3. 無形固定資産
  4. 未払費用・未収収益と前払費用・前受収益
  5. 負債性引当金と偶発事象
  6. 貸倒債権と評価性引当金
  7. 物品販売税(≒消費税)

Part E: 試算表の作成

  1. 総括勘定
  2. 預金残高の照合
  3. 誤りの修正

Part F: 基礎的な財務諸表の作成

  1. 不完全な会計記録
  2. 個人事業主における財務諸表の作成
  3. 株式会社特有の会計処理(入門)
  4. 株式会社における財務諸表の作成
  5. 後発事象
  6. キャッシュフロー計算書

Part G: 簡単な連結財務諸表の作成

  1. 連結財務諸表とは?
  2. 連結財政状態計算書(≒連結貸借対照表)
  3. 連結損益計算書

Part H: 財務諸表の解釈

  1. 財務諸表の解釈

 

各項目の内容及びポイント

次に、「目次」の各項目について、一つずつ見ていきます。

それぞれの項目について、内容の簡単な説明試験を攻略する上で重要だと感じたポイントをご説明いたします。

Part A: The context and purpose of financial reporting

1. Introduction to accounting

(内容)

まさに「会計学入門」といった感じの内容です。

そもそも会計とは?、会計報告を行うのは誰か?、会計にはどんな種類があるのか?、会計情報の利用者は誰か?、会計報告はどんな報告書や要素で構成されているのか? というようなお話が出てきます。

 

(ポイント)

導入的な内容ですので、試験での出題可能性に関わらず、全体をしっかりと理解する必要があります(後の章の「前提知識」となるからです)。

そのうえで、試験での出題可能性が高いのは、個人事業主(Sole traders)、組合(Partnerships)、株式会社(Limited liability companies)の特徴の違いです。しっかりと理解して区別できるようにしておきましょう。

また、財務会計(Financial accounting)と管理会計(Management accounting)の違いも、試験対策上の重要性が比較的高いと思います。

 

2. The regulatory framework

(内容)

主に『IFRSを作成・公表している団体の組織構成』について学びます。

 

(ポイント)

各部署(IASB、IFRS Foundation、IFRS Interpretations Committee等)の役割をしっかりと区別して覚えることがこの章のポイントです。

 

Part B: The qualitative characteristics of financial information

3. The qualitative characteristics of financial information

(内容)

IASBの概念フレームワーク(The IASB’s Conceptual Framework)について学びます。

その中でも特に、財務情報の質的特性(The qualitative characteristics of financial information)に焦点が当てられています。

 

(ポイント)

継続企業(Going concern)、発生主義(Accrual basis)、目的適合性(Relevance)等々、

いかにも“会計学っぽい”専門用語が次々と出てきますので、それらを理解・記憶することから始まります。

そのうえで、財務情報の質的特性については、各用語を『ただヨコに並べて』覚えるのだけでは足りません。用語同士の関係性や階層の成り立ちをしっかりと把握したうえで記憶する必要があります。たとえば、「Fundamental qualitative characteristicsは、RelevanceとFaithful representationの2つから成っており、Relevanceな財務情報となるためには、Predictive valueとConfirmatory valueの2つを有していることが必要……」のように、です。

 

Part C: The use of double entry and accounting systems

4. Sources, records and books of prime entry

(内容)

企業の取引を記録するための証憑や帳簿について学びます。

 

(ポイント)

日本の学習者にとっては、Credit noteDebit noteという証憑が特にイメージしにくいと思われます(少なくとも私はそうでした……)

どちらも取引がキャンセルされた場合に発行されるのですが、

・Credit note:売り手(Supplier)が発行して、買い手(Customer)に送付する。
・Debit note:買い手(Customer)が発行して、売り手(Supplier)に送付する。

という違いがあります。

『発行する側にとって、売上債権(Trade receivable)または仕入債務(Trade payable)が、貸方(Credit)と借方(Debit)のどちらに移動するのか』で覚えると分かりやすいかもしれません。

【Credit note】
売上がキャンセルされることで、売り手(Supplier)にとっては、売上債権(Trade receivable)が貸方(Credit)に移動する。
【Debit note】
仕入がキャンセルされることで、買い手(Customer)にとっては、仕入債務(Trade payable)が借方(Debit)に移動する。

という感じに、です。

Debit note(デビットノート)とCredit note(クレジットノート)については、以下の記事もご参照ください。

 

5. Ledger accounts and double entry

(内容)

複式簿記(double entry)という、簿記や会計において基本中の基本となる考え方が、この章のメインテーマです。

複式簿記というのは、企業の取引や経済事象を、借方(Debit)と貸方(Credit)の2つの面から捉えて記録していく方法のことです。

これは、対義語となる単式簿記と比較してみると分かりやすいかもしれません。

詳しくはこのサイト→(※外部リンクへジャンプ)などをご参照してみて下さい。

 

(ポイント)

この章で出てくる内容は、試験で直接訊かれることはほとんど無いと思います。

しかも、簿記や会計の学習をしたことがある人であれば、誰でも知っているような事柄ばかりです。

「一度だけ教科書に目を通して、あとは問題演習で必要な知識だけを補強していく」という学習方法で十分かもしれません。

 

6. From trial balance to financial statements

(内容)

主に試算表(Trial balance)について学習します。

また、試算表の情報を元に財務諸表が作成されるので、両者(試算表と財務諸表)の関係性についても言及されます。

 

(ポイント)

この章で出てくる内容で、試験で直接訊かれるようなものは、『試算表を作成しても見抜けない誤りはどれか?』くらいだと思います。

それ以外は、前章と同じく、簿記・会計の学習経験者なら誰でも知っているような内容ばかりです。学習方法も、「一度だけ教科書に目を通して、あとは問題演習で必要な知識だけを補強していく」というやり方で十分だと思われます。

 

なお、この章(6. From trial balance to financial statements)にしても、

前章(5. Ledger accounts and double entry)にしても、

IFRSにおける会計の処理や報告を詳しく学習する以前の、簿記や会計において基本中の基本の「前提知識」となるような内容ばかりです。

もし、これらの章を学習した際に「はじめて見る内容ばかりだ……」と感じるようでしたら、無理してそのまま英語のテキストで学習しようとせず、普通に日本の書店で手に入る日本語で書かれた簿記の教科書や入門書を別途用意して目を通した方が、かえって学習時間を短縮できるかもしれません。まさに「急がば回れ」というやつですね 汗。

 

Part D: Recording transactions and events

7. Inventory

(内容)

棚卸資産(Inventory)の会計処理について学習します。

棚卸資産とは、企業が販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称のことです。「販売する目的で」というのがキーワードです。

 

(ポイント)

『先入先出法(FIFO:First In First Out)あるいは平均法(AVCO:Average cost)で計算した場合の売上原価(もしくは在庫の評価額)を計算せよ』という計算問題に対応できるようになることが、この章で一番大切なポイントとなります。といっても、難易度は割と低めですのでご安心を!

 

また、『正味実現可能価額(NRV:Net Realisable Value)と帳簿価額のうち、いずれか低い方を期末在庫の評価額とする』という考え方も重要です(日本基準でいうところの「低価法」っぽい考え方、ですね)。こちらもしっかりと押さえておきましょう!。

 

8. Tangible non-current assets

(内容)

有形固定資産(Tangible non-current assets)の会計処理について学習します。

まず、(会計学における)固定資産とは、企業が1年を超えて自ら使用する意図で取得した資産のことです。「1年を超えて」「自ら使用する意図で」というのがキーワードです。

そして、有形固定資産とは、その名の通り、固定資産のうち“形がある”=物理的な実体をゆする資産のことです。土地とか建物とか、機械とか車両とか、その手のものですね。

 

(ポイント)

何と言っても、減価償却(Depreciation)の計算ができるようになることが、この章における最重要項目です。

難易度は低いとは言い難いですが、そこまで複雑な処理が要求されるものでもありません。しっかりと落ち着いて学習すれば大丈夫です!

 

なお、日本基準にはない、IFRS独特の会計処理として、『時価(正確には「公正価値(Fair Value)」)をもって固定資産の期末評価額とする方法も認められる』というものがあります。

時価で評価した場合、当然、減価償却の金額にも影響を及ぼします。計算の際は注意が必要です。

また、減価償却の金額が変わるだけでなく、『評価(評価の方は対象外)のうち、減価償却で実現した部分に対応する金額については、再評価剰余金(Revaluation surplus)から利益剰余金(Retained earnings)に振り替える』という処理が別途発生します。見落とさないように注意しましょう。

 

ちなみにですが、簿記や会計を学習した経験がある人でしたら、減価償却といえば『定額法』『定率法』という言葉が頭に思い浮かぶことでしょう。それでは、これらを英語では何と言うか、お分かりになりますでしょうか?

答えはそれぞれ、「Straight line method」「Reducing balance method」です。“直訳”っぽくないので、一見分かりにくいですよね……。学習の際はお気を付け下さい!

 

9. Intangible non-current assets

(内容)

無形固定資産(Tangible non-current assets)の会計処理について学習します。

無形固定資産とは、その名の通り、固定資産のうち“形が無い”ものです。たとえば、ソフトウェア、特許権(Patent)、顧客名簿、独占販売権などが挙げられます。また、研究開発費(Research and Development costs)のうち「開発(Development)」に当たる部分の費用も、無形固定資産に該当します。

 

(ポイント)

この章からは、計算問題の出題はほとんどありません。文章による正誤問題がほぼ全てです。

そのため、無形固定資産の会計処理に関する様々な理論を、正確に理解・記憶することが重要となります。

 

なお、日本基準をベースに無形固定資産について学習した経験がある方は、以下の各点にご注意ください。IFRSと日本基準とで、減価償却の方法が大きく異なっています。

IFRSの場合、日本基準とは異なり……
・「耐用年数がない(=無限)ため減価償却はしない」という処理方法がある。
・「耐用年数は最大5年」という制限がない。
・定額法以外の方法も認められている。

 

10. Accruals and prepayments

(内容)

未払費用や未収収益(Accruals)前払費用や前受収益(Prepayments)を計上して、当期の損益を調整する方法について学びます。

 

(ポイント)

考え方自体は非常にシンプルで分かりやすいです。『当期に対応する部分は損益を追加して、対応しない部分は損益から取り除いて翌期に回す』ということですから。

ただ、実際に計算問題を解くとなると、意外とややこしくて複雑だったりします……。問題文で与えられた条件をしっかりと読んで、「どの部分が当期に対応するのか、しないのか?」を落ち着いて冷静に仕分けていきましょう。

テキストを読み込むよりも、数多くの問題にチャレンジすることが特に重要となる章だといえます。

 

11. Provisions and contingencies

(内容)

引当金(Provisions)偶発事象(contingencies)について学習します。

どちらも、

「確定するのは将来」のことだが、
「過去の事象が原因」で発生することになる

負債や資産を対象にしています。
たとえば、「(決算日の時点で)裁判が継続中の損害賠償請求」が典型的な例です。

損害賠償の有無や金額が確定するのは、判決が確定した時です。そして、判決が確定するのは、決算日以降の「将来の出来事」です。

一方、損害賠償請求の原因となっているのは、何らかの危害を与えてしまったという、決算日以前の「過去の事象」です。

 

(ポイント)

まず、偶発事象は、偶発資産偶発債務に分けて考えましょう。

 

偶発資産の方は、『一定の条件を満たした場合、財務諸表の注記の中で開示しなくてはならない。それ以外は何もしない』という二者択一の対応をします。偶発資産が貸借対照表上の資産として計上されることはありません。

 

偶発債務の方は、引当金と関連させて理解することがポイントです。

具体的には、

① 引当金の要件を満たす?
・Yes ⇒ 引当金として貸借対照表に計上する。
・No ⇒ ②へ
② 偶発債務の要件を満たす?
・Yes ⇒ 財務諸表の注記の中で開示する。
・No ⇒ 何もしない。

という、『一連のフロー』をイメージします。

 

12. Irrecoverable debts and allowances

(内容)

貸倒債権(Irrecoverable debts)と貸倒引当金(Allowance)について学習します。

要するに、『回収が怪しくなった売上債権をどのように処理・評価するか?』というお話です。

 

(ポイント)

貸倒引当金の繰入額や貸倒損失の金額などの計算問題に対応できるようになる、これに尽きます。

与えられた条件をよく読みさえすれば、そこまで難易度は高くないと思います。

 

13. Sales tax

(内容)

物品販売税(Sales tax)の会計処理について学習します。

なお、物品販売税は消費税と言い換えてしまっても問題ありません(以下、この記事でも消費税という言葉を使います)

 

(ポイント)

まず、そもそも『消費税はどのような仕組みで納税されるのか?』を把握することが大切です。

われわれ消費者にとっては、「買った分の金額に10%や8%を上乗せして払ってオシマイでしょ?」という消費税ですが、消費税を受け取る側である事業者の目線に立ってみると、少々話が変わります。

消費税は税金ですので、受け取った事業者が自分のお金にできるわけではありません。最終的には国に治める必要があります。

とはいえ事業者は、顧客から受け取った消費税の合計額を、そっくりそのまま国に納付しているのではありません(別に、着服とか脱税とかしているわけではありませんよ? 汗)。事業者は、自分の商品やサービスを売り上げた際に顧客から消費税を受け取るだけではなく、商品を仕入れたり、業務に必要な物品を購入したりした際に、自分でも消費税を他の事業者に支払っています。

そのため、各事業者は、「顧客から受け取った分」と「自分で支払った分」の差額を国に納めることになっています。これが、消費税が納税される仕組みです。

 

そして、消費税に関する会計処理は、このような納税の仕組みを会計上へ反映させるようにできています。すなわち、納税の仕組みさえ理解していれば、そこから派生する会計処理も自然と理解することができる、というわけです。

 

Part E: Preparing a trial balance

14. Control accounts

(内容)

総括勘定(Control accounts)に関する事柄について学習していきます。

「総括勘定」は、日本の簿記や会計を学習した人にとっては、あまり馴染みのない言葉かと思います(実際、私はFAの勉強をして初めて知りました)。

一言で言うなら、「個々の顧客や仕入先の名称が付けられていない、売上債権や仕入債務の勘定」のことです。

 

事業の規模が大きくないうちは、個々の顧客や仕入先ごとに元帳を用意し、各顧客・仕入先の名称をそのまま(売上債権や仕入債務の)勘定科目として使用する、という方法を採るのが簡単で便利です。

しかしながら、事業の規模が大きくなり、顧客や仕入先の数が増えてくると、この方法はかえって管理が面倒になってしまいます。

そこで、元帳(総勘定元帳)を、顧客や仕入先を区別しないものに切り替えます。勘定科目も、個々の顧客や仕入先の名称ではなく、Account receivableやAccount payableといった汎用的なものを使うようにします。そして、このようなAccount receivableやAccount payableといった「汎用的な勘定科目」こそ、総括勘定(Control account)というわけです。

(なお、各顧客や仕入先の情報については、補助科目や補助元帳で管理することになります)

 

また、この章では、顧客や仕入先から情報を得て債券・債務の残高を照合する手続きについても言及されています。

 

(ポイント)

※「14, 15, 16のポイント」にて後述。

なお、この章特有の事項ですが、各Discount(Trade discountCash/Settlement discount)の処理方法をしっかりと区別して理解・記憶することが重要となります。

 

15. Bank reconciliations

(内容)

銀行から送られてくるBank statementと、

企業側で作成している現金出納帳(Cash book)との照合(Reconciliation)について学習します。

 

(ポイント)

※「14, 15, 16のポイント」にて後述。

 

16. Correction of errorsa

(内容)

各種照合の結果、期中の会計処理が誤っていた(あるいは漏れていた)ことが判明した場合の修正方法について学習します。

今までに入力した仕訳を取り消したりせずそのままにしておいて、修正用の仕訳を新たに追加する、という方法で修正を行います。

 

(ポイント)

※「14, 15, 16のポイント」にて後述。

なお、この章特有の事項ですが、Errorの種類(Error of transposition/omission/principle/commission)の区別については、直接試験で出題されます。しっかりと押さえましょう。

 

※14, 15, 16のポイント

『情報を照らし合わせて誤りや漏れが無いかをチェックし、修正を行う』という切り口から、様々なパズルのような計算問題が出題されます。

与えられた情報を元に、

「正しい〇〇の金額はどれか?」を算出したり

「必要な修正は次のうちどれか?」を選択する、といった問題です。

 

クマガワ個人的には、この手の問題は嫌いでした……汗

いかにも「試験のためにわざわざ作られた」感じがして、その分、無駄に難易度が高くなっているような気がしまして……。「この問題が解けたところで、財務会計のスキルが向上するんですか?」という思いにさせられました 汗

 

とにもかくにも、

「どのような情報が」

「AとBどちらの方に」

「どのような影響を与えるか」

をしっかりと冷静に考えて、一つ一つ整理していくことが、“照合・修正”系のパズル問題をクリアするためのコツだと考えています。

これからFAの学習を始める方がおられましたら、どうかご武運を!

 

Part F: Preparing basic financial statements

17. Incomplete records

(内容)

Incomplete recordsというタイトルはあまり気にする必要は無いかもしれません。

『期末に行う様々な処理』を雑多に学んでいくというイメージの方がしっくりきます。

 

たとえば、

・『Assets = Capital + Liabilities』の関係

・『Closing net assets = Opening net assets + Capital introduced + profit – drawings』の関係

・Mark-upやGross profit marginの考え方

・盗まれたり壊れたりした商品の会計処理

といった内容を学習していきます。

 

(ポイント)

この章の内容が雑多なだけに、試験においても、雑多な種類の計算問題が出題されます。個々の難易度は低めです。

 

18. Preparation of financial statements for sole traders

(内容)

個人事業主における財務諸表の作成についてのお話です。

……といっても、個人事業主の財務諸表を作成する際は、会社や組合と異なる、何か特別な処理が発生する、というわけではありません。

「個人事業主は、株式会社ではない」

       

「資本(Capital)の部分について、株式や剰余金とか、その手の話はとりあえず抜きにしますよ~」

という程度の意味合いだと思われます。

 

(ポイント)

この章特有の内容がほとんどありません。

前章の「17. Incomplete records」でほぼ全てカバーされています。

 

19. Introduction to company accounting

(内容)

株式会社の財務諸表における資本(Capital)の部分に関する項目を学習していきます。

 

(ポイント)

そもそも、「株式会社」とは何か? その仕組みを理解していることが大前提となります。

テキストでは詳しく説明されませんので、不安な方は、ネットや書籍で知識を補充しておくことをオススメします。

 

そのうえで、様々な専門用語の意味や、それらに関する会計処理を理解・記憶していきましょう。この章の内容は、理論と計算をバランスよく習得していくことが求められます。

 

20. Preparation of financial statements for companies

(内容)

財務諸表の構成について学習します。

・そもそも「財務諸表」には、どのような表があるのか?

・各財務諸表では、どのような内容が開示されるのか?

・各財務諸表は、どのような項目で構成されているのか?

といった内容を学んでいきます。

 

(ポイント)

簿記や会計を学習した経験がある方であれば、常識的な内容ばかりです。特に力を入れて勉強する必要は無いでしょう。

一方、初学者の方は、日本語の参考書や入門書に目を通してからこの章に取り組んだ方が、後々のことを考えるとかえって効率的かもしれません。「財務諸表の作成」は、財務会計論における最終的なゴールと言えます。そのため、この章の内容である『そもそも財務諸表とは何たるか?』の理解が不十分ですと、後で大きな支障が出てくると思われます。英語のテキストだけで『何となく』理解するではなく、日本語の書籍を経由してでも『しっかりと』理解することを絶対にオススメします!

 

21. Events after the reporting period

(内容)

後発事象について学習します。

後発事象とは、決算日の後、財務諸表を作成・公表する前に生じた事象のうち、財務諸表の内容に重要な影響を及ぼすもののことです。たとえば、決算日の後、財務諸表を作成している最中に、重要な取引先が倒産して債権が貸し倒れてしまった、というような例が挙げられます。

決算日の後、財務諸表の作成・公表が完了するまでの間には、どうしても数ヵ月単位のタイムラグが出てしまいます。そのため、この“タイムラグ”の間に何か重要なイベントが起きた場合、決算日までに発生したわけじゃないからといって、果たして財務諸表にはまったく反映させなくてもよいのか? という問題が生じるわけです。

 

(ポイント)

まず、後発事象は、修正後発事象開示後発事象の2つに分類されます。

修正後発事象は、財務諸表に計上される会計数値の修正まで行わなければならない後発事象のことです。一方、開示後発事象は、財務諸表の注記に記載すれば足りる後発事象のことです。

試験対策上は、問題文で与えられる様々な後発事象が、修正・開示のいずれに該当するのかを区別できるようになることが大切です。

 

22. Statements of cash flows

(内容)

キャッシュフロー計算書について学習します。

キャッシュフロー計算書とは、財務諸表の一つで、現金(及び現金同等物)の増減を開示する報告書のことです。

利益が出ていても現金の不足により倒産してしまう「黒字倒産」の事例が見られたことから、キャッシュフロー計算書の重要性が主張されました(と言われています)。

 

(ポイント)

まず、①営業活動(Operating activities)によるキャッシュフロー②投資活動(Investing activities)によるキャッシュフロー③財務活動(Financing activities)によるキャッシュフローを判別できるようになる必要があります。

 

また、試験対策上は、様々な取引や事象がキャッシュフロー計算書に対してどのような影響を与えるかを判定できるようになることが非常に重要です。

特に、間接法(Indirect method)により営業CFが計算されている場合、頭の使い方が少々トリッキーになるので要注意です。

基本的には、

悲しかったら(=資産の減少&負債の増加)
⇒ キャッシュは増加
嬉しかったら(=資産の増加&負債の減少)
⇒ キャッシュは減少

となります。

 

Part G: Preparing simple consolidated financial statements

23. Introduction to consolidated financial statements
24. The consolidated statement of financial position
25. The consolidated statement of profit or loss

(内容)

23~25の3つの章を通して、連結財務諸表(Consolidated financial statements)について学習します。

 

連結財務諸表とは、親会社と子会社の財務情報を、あたかも一個の企業であるかのように ひとまとめにして開示する財務諸表のことです。なお、連結財務諸表を作成するプロセスを連結決算もしくは連結会計などと呼びます。

 

また、持分法(Equity method)についても学習します。

持分法の対象となるのは、連結財務諸表の対象とするほど支配(Control)をしているわけではないが、重要な影響(Significant influence)を与えることができる関係会社です。関係会社の業績に応じて、その関係会社の株式の評価額を増減させます。

 

(ポイント)

数ある会計学の論点の中でも、頭の使い方がかなり特殊な項目。それが連結会計です。

日本語の解説書も併用することを強く推奨します。

 

※実際に私も、この本↓の「基本編」に目を通してからFAの試験に臨みました。

『図解&設例 連結会計の基本と実務がわかる本』


とにもかくにも、一番初めに強く認識しなければならないことは、

連結会計で行う様々な仕訳は、あくまでも、連結財務諸表を作成するためだけの“仮想的”なもの

ということです。

それゆえに、

親会社にとっても、子会社にとっても、それぞれ個別レベルの会計上は、一切情報が反映されないし、記録も全く残らない。

記録が残らないから、連結財務諸表は、決算の時だけの“使い捨て”のイメージである。すなわち、2回目以降、連結財務諸表を作成するときは、初回からの処理を一から全て復活させなければならない。

初回からの処理を一から全て復活させるということは、前期以前に計上した損益も再度改めて認識するということになる。その際、当期の損益ではないことから、費用や収益の項目を計上するのではなく、利益剰余金(Retained earnings)を直接増減させる仕訳を切ることになる。

といった、連結会計独特の考え方が導かれます。

 

ここら辺の理解が曖昧のまま、個別レベルの会計処理を行うのと同じ感覚で連結会計を捉えていては、いつまで経っても本質的な理解にたどり着けません。そのような状態で問題演習を行っても、その時々で正解したりしなかったりと、いつまでも不安定のままとなってしまうことでしょう。

 

Part H: Interpretation of financial statements

26. Interpretation of financial statements

(内容)

財務諸表を解釈や分析する手法について学習します。

具体的には、財務諸表の各数値から様々な『指標』を計算し、その良し悪しによって、企業の財政状態や経営成績を評価します。

 

(ポイント)

良くも悪くも、内容を理解するよりも、ひたすら暗記をすることが攻略の鍵となる章です。

といいますのも、

「なぜ、この“指標”はこのように計算するのだろうか?」と疑問を持ったところで、

「そのように決められているから」としか答えようのない項目ばかりだからです。

幸いなことに、複雑な計算が要求される“指標”は一つもありません。一個ずつ頑張って覚えていきましょう!

 

総括

【総括】

今回、この記事を書いてみて改めて感じたのが、

 

FAの学習は、

日本語の参考書や入門書を別に用意して(場合によっては2冊以上)

多少時間を掛けてでも、

じっくりと【本質的】な理解を目指した方がよい

 

ということでした。

 

上述『各項目の内容及びポイント』でも「日本語の(教科書や参考書や入門書)」という言葉を何度も使いましたが、

FAの試験範囲には、前提知識の有無によって理解度に大きな差がつきそうな箇所がたくさん見られました。

 

特に、そもそも簿記や会計というものに初めて触れるような、完全初学者の方にとっては、英語のテキストだけですと相当厳しいものがありそうだなと思いました。

簿記や会計というのは、言ってしまえば「計算方法を学んでいく学問分野」です。ひとつひとつ専門用語を覚えていくだけでは足りません。数値や事象がどのように動くか、頭の中でシミュレートできる必要があります。その意味では、数学や算数、情報技術、物理や化学などと似ています。

それでは、「数学やITや理科」を、何も知らない状態から、英語で一から理解してくださいと言われたら、皆様いかがでしょうか? 多くの方が「そんなの無理!」と思うのではないでしょうか 汗

同様に、簿記や会計を、全くの未知の状態から、英語という母国語でない言語で理解していくというのは、かなり大変なことだと思います……。

 

……とはいうものの、正直申し上げて、FAの試験に合格するだけならば、英語のテキストだけでゴリ押しするのも決して難しくはないと思います。

そもそも、合格点が100点中50点とかなり低めに設定されています。

また、理数系に似た性質があるとはいえ、簿記や会計は、そこまで複雑で抽象的なものではなく、さほど難解ではありません(連結会計など、一部の分野は除きますが 苦笑)。

 

しかしながら、そもそもこの試験は「英国勅許公認会計士(ACCA)」の試験です。つまり、「会計のプロ」を目指すためのものです。

とすれば、財務会計の試験であるFAにおいては、「合格点が取れればそれでいいや~」という心持ちで学習に臨むべきではありません。「会計のプロ」として相応しい高レベルな知識とスキルを身に付けるためにも、FAの『内容をしっかりと理解する』ことが大事だと思います。

 

しかも、財務会計に関する試験は、FAで終わりではありません。FR(Financial Reporting)にSBR(Strategic Business Reporting)と、まだまだこれからも続いていきます。ですので、一番簡単で基礎的なFAを学習する段階で、理解がおろそかで“基礎固め”がないがしろになっていますと、後で苦労することが容易に予想できますよね 汗

 

というわけでやはり、たとえ試験に合格するためには必要ないとしても、「理解が不十分だな……」と感じる箇所があれば、面倒臭がらずに日本語の書籍を活用することをオススメいたします!

それが後々、絶対に自分の助けになるはずです。「ACCAに最終合格をする」という目的を達成するためには、今のうちに多少の“遠回り”をした方が、長い目で見たらかえって近道になると思います!

 

 

……と、長々と語ってしまいましたが、簿記や会計をそれなりにしっかりと学習した経験がある方であれば、FAの学習で苦労することはほとんど無いと思われます。「かつて習得した知識を英語に直していく」という過程をひたすら繰り返す感じになります。

唯一、連結会計の分野だけは、簿記や会計の学習経験者であっても、未学習だったりうろ覚えだったりする可能性が高い箇所かと思います。その場合は、日本語の書籍で理解をサポートすることをお勧めします。

 

『図解&設例 連結会計の基本と実務がわかる本』

 

また、財務分析の分野も、初見となる方が多いかもしれません(日本の簿記の教科書では、財務分析のことは一切触れられないのが普通ですので)。

ただ、この分野は、各指標を「ひたすら暗記」するだけで事足ります。わざわざ日本語の参考書を用意する必要まではないように思います。

 

 

それでは、今回はここまでです。

ご閲読ありがとうございました!!

 


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