ACCAの試験制度やキャリア等

ACCA vs USCPA ①【基本的にはACCAがオススメ!】

どうも、おはようございます!

経営学関係の本も、30冊以上読んだ経験がございます!!

クマガワ@Kumagawa_Pro)です。

 

かねてよりお話ししているように、私は今、英国勅許公認会計士(ACCA)という、イギリスの会計士資格の取得を目指して勉強中です。

 

さて、このACCA、日本でも受験可能なのですが、

同じく日本で受験が可能な外国の公認会計士といいますと、日本では米国公認会計士(USCPA)の方が圧倒的に有名です。

 

それでもわざわざACCAの方を選んだ私が、

『ACCAとUSCPAを徹底比較!』

というテーマでお話しをさせて頂きたいと思います。

※なお、内容が非常に長くなってしまいましたので、今回と次回の2回に分けてお話ししたいと存じます。

 

 

結論:ACCAの方がオススメ!(ただし例外もあり)

次の記事でご説明する「USCPAの方が適している人」以外は、

USCPAよりもACCAの受験を推奨したいというのが、私の考えです。

 

ACCAの方がUSCPAよりもオススメできる理由は、以下の通りです。

ACCAはIFRSに準拠した試験である

IFRSは、まさに「国際的」な会計基準です。

世界中の国々が、IFRSをそのまま受け入れたり、多少の修正を加えたうえで自国の会計基準として採用したり、あるいは、既存の自国の会計基準をIFRSへ近付けるように改正したりしています。

世界のビジネスに与える影響は、所詮はローカルなルールに過ぎないアメリカの会計基準(US-GAAP)とは比較にならないほど大きいです(「所詮は」なんて言うと怒られるかもしれませんが…… 汗)

 

日本の企業においても、海外の企業と取引をしたり、海外に拠点を置いたりと、「国際的」なビジネスを行うのは今や日常茶飯事です。

このような「グローバリゼーション」な環境においては、会計担当者等が業務の中でIFRSに触れる機会も、珍しいことではなくなっています。

 

そのため、USCPAを受験してUS-GAAPを習得するよりも、

ACCAの受験を通してIFRSを学習した方がはるかに有用であるといえます。

ACCAは「通用する国」の数が多い

IFRSが世界中に影響を与えている会計基準だということにも関連すると思いますが、

ACCAの資格を何らかの形で自国の会計士資格と結び付ける国の数は非常に多いです。

これは、ACCA協会が世界の様々な国へ積極的に働きかけた結果でもあるようです。ACCAという資格の国際的な“布教活動”に成功した、というわけですね!笑

 

ACCAの資格が世界中で受け入れられているという点に関しましては、以下の2つのブログ記事が非常に参考になります。

『【おススメ海外会計資格】ACCAが最強な訳』※外部リンク

『ACCA資格で他の国の公認会計士になる』※外部リンク

以上のように、ACCAの資格を取得すれば、イギリスだけではなく、様々な国で活躍できるチャンスがあります。

特に、「海外就職には興味あるけど、行きたい国はハッキリとは決まっていないかな?」という方でしたら、将来に様々な選択肢を残せるという点でオススメです。

ACCAの方が受験資格のハードルが低い

以前の記事でもお話ししましたが、ACCAは受験資格を得るのが非常に簡単です。

日本の学校の場合、大学か専門学校を卒業していれば受験できます。

学部や専攻等はいっさい関係ありません。

 

一方のUSCPAは、受験資格のハードルがかなり厳しいことで有名です。

州によって異なるのですが、大体は、①「150程度の単位数」②「会計やビジネス系の単位が50前後含まれていること」が要求されます。

この条件を最初から満たしている方は、日本ではほとんどいないのではないでしょうか?(少なくとも、法学部出身で院卒でもない私では、話になりません 汗)

 

また、受験資格のハードルが比較的易しい州を選んだとしても、試験合格後、正式に「米国公認会計士」と名乗る(=正式なライセンスを取得する)ためには、

結局、前述の①「150程度の単位数」と②「会計やビジネス系の単位が50前後含まれていること」をクリアしないといけないケースがほとんどのようです。

※USCPAの受験資格やライセンス取得要件については、Abitus様のサイト(https://www.usedu.com/uscpa/condition/detail.html)をご参照ください。

 

以上のように、USCPAはそもそも受験を開始する段階でハードルが非常に高い一方、ACCAは気軽にチャレンジすることが可能です。

 

 

何事にも向き不向きがあるというものがございます。

ACCAであれば、受験勉強を始めてから、万が一、「海外の会計士資格を取るというのは、自分には難しそうだな……」と思い、撤退を決断したとしても、失うものは少ないです。

しかしながら、USCPAの場合、受験を開始しているという時点で、不足分の単位をお金と時間を掛けてわざわざ取得してきたということです。受験から撤退してしまうと、そのお金と時間が完全にムダになってしまいます。※経済学的には「サンクコスト」なんだから気にする方が間違っている、というツッコミはなしでお願いします… 苦笑。

ACCAの方が働きながらでも挑戦しやすい

これは主に、ACCAとUSCPAの科目数に関係しています。

 

いずれも科目合格制であることには変わりないのですが、最終合格までに、

ACCAは13科目、USCPAは4科目に合格する必要があります。

 

一見、数が少ないUSCPAの方が魅力に感じるかもしれません。

しかしながら、「ACCAもUSCPAも、最終合格までに要求される知識の量はあまり変わらない」と言われています。これを前提に、もう一度冷静に考えてみましょう。

……USCPAの方が、科目数が少ない分、1科目当たりに要求される知識量が多くなってしまいますよね?

 

人間というのは「忘れる」生き物です。

100個の知識を、10個ずつ10回に分けてテストを受けるよりも、同時に100個覚えさせられていっぺんに出題される試験の方が、合格に必要となる勉強量は多くなってしまいます。

 

そのため、働きながら勉強をする社会人にとっては、一回の試験当たりの出題範囲が広い資格試験ほど、受験へのハードルが高くなるでしょう。言わずもがな、社会人は勉強をする時間がなかなか確保できないからです。

 

逆に言えば、試験が細分化されていればいるほど、社会人でも取り組みやすい制度だということになります。

それゆえ、ACCAの方がUSCPAよりも社会人に向いていると言えるのです。

ACCAの方が「無駄になる」知識が比較的少ない

これは、USCPAが4科目すべて必須であるのに対し、

ACCAの方は、最終段階のProfessional Moduleが「必須2科目+選択4科目中2科目」の選択制になっていることが大きいです。

 

USCPAにせよ、ACCAにせよ、『海外の会計士資格』という特性上、日本のビジネスパーソンにとっては ほとんど(or全く)役に立たない知識というのが、どうしても少なくありません。

たとえば、外国の税法を頑張って勉強したところで、自分の仕事に活かせるという人は非常に珍しいでしょう(外資系の税理士法人で国際税務に携わる仕事をしている方、とかくらいでしょうか?)

また、監査論についても、一般の事業会社に勤務していて自分たちが監査を“される”側なのであれば、あまり高度な内容を習得しても意味があるとは思えません。人によっては、会計監査とはまったく無縁の環境で仕事をしているということも、普通にあり得ます。

 

この点、ACCAであれば、選択科目でATXとAAAを選択しなければ、税法及び監査論について、上級レベルの学習を回避することができます。※そうすると必然的にAFMとAPMの2科目を受験することになりますが、どちらも実際のビジネスにおいて有用性や汎用性が高い内容ですので、問題無いと思います。

Fundamental LevelのTXとAAだけ、仕方ないと腹をくくって勉強すれば済みます。

 

一方、全科目必須のUSCPAでは、こうはいきません。

まず、REGという科目において、アメリカの税法が試験範囲に含まれています。おまけ程度に基本的な内容だけ訊かれるのであれば まだよいなのですが、全体の7割が税法の出題で、しかも難易度も決して低くないそうです(参考:https://yosso-cpa.net/entry/reg-overview/#i-2

そして、AUDという科目は、まさにこれ一つで「監査論」という科目です。基礎から応用レベルの内容に至るまで、試験全体を通して監査論に関する出題がひたすら続きます。

 

以上のように、上級レベルの外国税法や監査論を勉強しなくても済むという点から、ACCAは、USCPAと比べて、「無駄になる」知識の習得にかかる手間が少なくて済むと言えます。

ACCAの受験では経営学もしっかりと勉強する

ACCAでは、経営学に関する内容も、試験全体の中で重要な地位を占めています。

これは、USCPAにはない魅力だと思います(もしかしたら好みの問題かもしれませんが……)

 

具体的には、試験の第1段階(Knowledge Module)から、いきなり経営学が登場します。ABにおいて、組織論の初歩的な内容が幅広く出題されます。

そこからしばらく(第2段階(Skills Module)の間)は、経営学と関連の強い科目は出てきませんが、

試験の最終段階(Professional Module)において、必須科目SBLとして再び経営学が登場します。このSBLでは、リーダーシップや経営戦略等の内容に関して、本格的なケーススタディの問題が出題されます。

 

一方、USCPAでは、BECという科目の中で、申し訳程度に経営学が触れられているにすぎません(このBECという科目で中心となるのは、ACCAでいうならFMやPMに相当する内容です)

 

以上のように、経営学の扱われ方が、ACCAとUSCPAとでは全く異なっています。

そして、経営学と無縁なビジネスパーソンは皆無です。経営学とは、ビジネスそのものを研究する学問なのですから。

 

ACCAの受験を通じて、会計だけではなく、経営学についても理解を深めることができるというのは、すべてのビジネスパーソンにとって超有益です!

補足:転職について

ACCAやUSCPAに限らず、

資格の取得を目指す人の大きなモチベーションの一つに、

転職(や就職)を有利にしたいから

というのがあると思います。

 

この点に関し、「ACCAは日本での知名度が皆無なので、(日本国内での)転職には全く役に立たないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、あくまでも個人的な意見ですが、ACCAもUSCPAも、転職活動における有用性に大差がないと考えております。

 

まず、監査法人への転職に関しては、この記事で考察しているように、USCPAを対象とした求人であれば、大抵の場合、ACCAでも同様に応募が可能だと思われます。

 

一方、事業会社への転職(経理職やコンサルタント等)ですが、そもそも、資格の有無はほとんど重視されません。

一般の転職市場において、何よりも重視されるのは職務経験です。第二新卒の採用とかですと、経験の代わりに学歴コミュニケーション能力が大事となります。いずれにしても、資格は「二の次」なわけです。

言い方は悪いですが、ACCAにせよ、USCPAにせよ、通常の転職活動ではどちらもあまり役には立たないということですね……。

 

以上より、転職という視点からは、知名度が高い分USCPAの方が若干有利かもしれませんが、それでもACCAと大差がない、と言えそうです。

まとめ

以上でお話ししてきた通り、『ACCA vs USCPA』という議論について、私は基本的には『ACCA派』です(だからこそ今、ACCAの受験に挑戦しているわけですが 笑)

 

ただし、冒頭でも申し上げましたが、USCPAの受験の方がオススメできる人もいます。

次回の記事では、『USCPAの方が適している人』について、詳しくお話しさせて頂きたいと思います。

 

なお、今回の記事では散々ACCAを“推し”てきましたが、ACCAを受験するためには色々と「前提条件」が必要になってくると考えております。

その点も合わせてご覧頂けましたら幸いです。

 

それでは、ご閲読ありがとうございました!

 

 


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