どうもです!
法学部出身なのに、なぜかイギリスの会計士を目指しています!
『プロリーマン』志望のクマガワ(@Kumagawa_Pro)です!!
さて、英国勅許公認会計士(ACCA)の試験制度をご説明した記事にて、「ACCAは全部で13科目に合格する必要がある」と申し上げました。
……が、実はですね、律儀に13科目すべてを受験しなくてもよい場合があるのです。
そうです。ACCAの試験には、科目免除の制度がございます。
今回は、その科目免除の制度について、お話ししていきたいと思います。
ACCAにおける科目免除制度の概要
そもそも、「科目免除」とは、その名の通り、特定の科目が最初から合格扱いとなり、試験を免除されるという制度です。
たとえば、日本の公認会計士の資格を持った方がACCAを受験する場合、最初のステップ(Fundamentals Level : Part 1 – Knowledge Module)であるAB、MA、FAの3科目は試験が免除されまして、いきなり第2ステップのPart 2 – Skills Module(LW、PM、TX、FR、AA、FM)からスタートすることができます。
(※ACCAの試験制度の詳細については、こちらの記事をご参照ください)
他国(=イギリスではない)の国家資格はいえ、会計に関する非常に高度な資格を持っている人物に対しては、初歩レベルの試験をわざわざ受験させる必要が無いという趣旨でしょう。
このように、保有資格や学歴等、受験生のバックグラウンド次第で一部の科目の試験を免除するという制度が、ACCAには用意されております。
ACCAにおける試験科目は、初級レベルから上級レベルに至るまで、様々な難易度のものが存在しています。
一方、ACCAは、世界中から多種多様なバックグラウンドを持った人たちが受験します。
そのため、各受験生が既に保有している学歴や資格に応じて、きめ細やかに試験科目の免除をしていこうというわけですね。
このような、受験生の受け入れに対する柔軟な姿勢も、ACCAが世界の国々で“会計士”として認められている理由の一つだと思います。
どんな学歴や資格を持っていると科目免除の対象となるの?
それでは、どのようなバックグラウンド(学歴や資格)を持った受験生であれば科目免除の恩恵を受けられるのか、具体的に見ていきたいと思います。
一番正確な回答は、ACCA協会のサイトにある「ACCA Exemptions Calculator」で確認することです。
名称と国(地域)から学校や資格を検索したのち、卒業(or取得)した年度を入力して、さらに課程や専攻を選択しますと、どの科目の免除を受けられるのか(あるいは全く免除が無いのか)が分かります。
私が調べた限りでは、日本人に関係あるのは、おおよそ以下のようになると思われます。
①「学歴」系
※日本の大学や大学院を前提としています。
※学士号(大学卒業)と修士号(大学院卒業)とで免除される科目に違いはないようです。
専攻分野 | 免除となる科目 |
会計学(Accounting)
の学士号または修士号の取得者 |
AB、MA、FA、LW(合計4科目) |
金融論(Finance)
の学士号または修士号の取得者 |
AB、MA、FA(合計3科目) |
経営学(General business&management)
の学士号または修士号の取得者 |
AB(1科目) |
法律学(Law)
の学士号または修士号の取得者 |
LW(1科目) |
②「資格」系
資格名 | 免除となる科目 |
(日本の) 公認会計士 | AB、MA、FA(合計3科目) |
USCPA | AB、MA、FA、LW、PM、TX、AA、FM(合計8科目!) |
USCMA(近年の取得者) | AB、MA、FA(合計3科目) |
USCMA(昔の取得者) | AB、MA、FA、LW、PM、AA、FM(合計7科目) |
まず、学歴による科目免除についてですが、該当する方は意外と多いのではないでしょうか?
要するに、商学部か経営学部か法学部あたりの学部を出ていればよい、ということですので。
(実際に、法学部出身であるクマガワ自身も、LWが免除された状態でACCAの受験を開始できております)
なお、このブログ記事(外部リンク)では「日本の大学を卒業しても殆ど99%試験免除はないと考えたほうがよい。」と書かれておりますが、そのようなことは全くございません。
筆者の方が受験された時代から、科目免除の対象が大きく広がったということなのでしょうか……?
また、「資格系」の方にある『USCMA』とは、『米国公認管理会計士』のことです。
USCPAが財務会計分野の公認会計士であるのに対し、USCMAは管理会計に特化したアメリカの会計士の資格です。
USCPAと同じく、日本で受験をすることが可能です。
(USCMAにご興味がある方は、こちらのTAC様のサイト(外部リンク)をご参照ください)
USCMAによる科目免除は、かつては合計7科目と非常に多くの科目が免除されていたようです。(実際に、このブログ記事(外部リンク)の筆者の方が、7科目の免除を受けられているようです)
しかしながら、比較的最近にUSCMAを取得された方の場合ですと、免除される科目が一気に3科目まで減ってしまいます。
前述のブログ記事をお読みになって、「7科目も免除されるんだったら、USCMA⇒ACCAの順に取っていった方が賢くね? USCMAって、たった2科目しかないみたいだし」とお考えになった方もいらっしゃるかもしれませんが、今現在では、その戦法は通用しません。ご注意ください 汗
さらに今度は、USCMAではなく、USCPAの方に着目したいと思います。
8科目の免除というのは凄まじいですよね!
今現在、USCPAは日本の会計業界では有名になり過ぎていて、取得されている方も非常に多くなってきたように感じております。
他のUSCPA取得者との“差別化”のために、8科目免除というアドバンテージを活かしてACCAとのダブルライセンスを狙っていくのも、一考に値するのではないでしょうか?
余談ですが、USCPAが8科目も免除を受けられるのに対して、それよりも遥かに難易度の高い日本の公認会計士試験を突破してきた人たちが3科目だけしか免除を受けられないというのは、なかなか奇妙に感じてしまいます。
これは、USCPAはACCAと同様に英語での試験であることに加えて、アメリカの会計基準がIFRSの内容と大きく共通していることが理由だと推測されます。
言語の問題にせよ、会計基準のことにせよ、「日本は国際的には本当に“ガラパゴス”的な国なんだなぁ」と、改めて認識をさせられますね……。
なお、税理士資格は、公認会計士と肩を並べるほどの会計系の難関資格ですが、3科目どころか科目免除が一切認められておりません(個人的には、FAやTXくらいは免除になってもいいような気もしますが……)。
また、簿記1級とかの民間資格については、どんなに難易度が高かろうが、科目免除を受けられないようです。
※以上の内容は、あくまでも私が個人的に調査をした範囲での結果をまとめたものです。実際にご自身がこれまで取得してきた、あるいは、これから取得しようとしている学位や資格が科目免除の対象となるのかにつきましては、前述の「ACCA Exemptions Calculator」を利用してご自身でしっかりとお調べになって頂けましたら幸いです。
「ACCA Exemptions Calculator」使いにくすぎ問題……
表題の通りです。
「ACCA Exemptions Calculator」ですが、とにかく操作性が悪いと感じました!
まず、検索の途中経過や結果を、別のタブやウィンドウで表示することができません。
そのため、複数の学位や資格について調べようとした場合、調査対象ごとにいちいち最初に戻って検索をやり直す必要がございます……。
ですので、本記事に掲載されている免除対象の一覧表を作成するのには、なかなか手間が掛かってしまいました 苦笑
また、学位による免除科目を調べる際、一見すると免除が全く受けられないかのような表示になってしまうという、かなりミスリーディングな作りとなっています
大学名を選択し、卒業年度を入力しますと、「3. Your course」というステップの画面になるのですが、この画面が非常にクセモノなのです。
右下の方にある「Show more qualification」という赤いボタンをクリックしませんと、学位の一覧が表示されない仕組みなっているのです!
お恥ずかしながら、実際に私自身も、この“「3. Your course」の罠”に引っ掛かってしまいました 苦笑
ACCA協会の方からLWの免除がある旨を教えてくれるまで、自分には一切科目免除が無いものと思い込んでおりました……。
皆様はこういうことにならないように、何卒ご注意ください!
それでは、ご閲読ありがとうございました!!
ACCAの受験を考えておりますが、どの記事も大変参考になります。
ありがとうございます。
RYO様
ご返信が大変遅くなり、大変失礼いたしました……。
改めまして、コメント頂き誠にありがとうございました!
最近は自分自身の勉強が忙しいこともあり、新しい記事が全く記事が投稿できておりません……。
ただ、来年2022年中には全科目合格まで終わらせたいと考えておりまして、その後しばらくは、このブログの更新にひたすら邁進したいと考えております。
RYOさんのようにACCAの受験を検討している方々にとって「バイブル」的な存在になる、将来的にはそんなサイトに仕上げていきたいと思っています。
それでは、今後ともよろしくお願い申し上げます。