タイトルのネタ元は、この本↓でございます。
『経営学博士が教える試験免除で公認会計士・税理士になる究極の方法』
タイトルだけではなく、内容の方も、今回の記事を書くにあたって大いに参考にさせて頂きました。
とにもかくにも、
どうも、クマガワ(@Kumagawa_Pro)です!
さて、前回の記事では、最後の方で、
『ACCAを存分に活用して、日本の公認会計士の資格も取ってしまう』
という内容に触れました。
今回は、このテーマについて、詳しくお話ししていきたいと思います。
具体的な手順
前回の記事でお話ししましたが、ACCA(英国勅許公認会計士)を皮切りに、試験免除の制度を活用して日本の公認会計士の資格を取得する方法は、以下のような手順をたどります。
(1) ACCAの資格を取る!
⇓
(2) ロンドン大学の会計学のMScを取る!
⇓
(3) 日本の大学で博士号を取る!
⇓
(4) 日本の公認会計士の資格を取る!
このうち、まず、『 (1)ACCAの資格を取る!』の部分については、「頑張って合格しましょう!」の一言ですね 苦笑。
日本の会計士試験に比べればはるかに難易度が低いうえに、完全な科目合格制ですので、真剣に取り組めばいつかは必ず合格できると思います。働きながらでも3~5年で取得が可能なレベルです(私はまだ受験中の身ですので、あまり偉そうなことは言えないのですが……)。
なお、「資格を取る」という表現となっていますが、正確には「全科目合格する」だけでOKです。実務経験等の要件をクリアして、ACCAの正会員(Member)となる必要まではありません。
次に、『(2)ロンドン大学の会計学のMScを取る!』の部分については、前回の記事をご参照ください。ACCAの資格を持ってさえいれば、「期間は半年間」「費用は50万円」「授業や課題はすべてオンラインで完結」という、かなりの低負担でMScの学位を取得することができます。
(なお、「MSc」とは、修士号のことです。海外では、修士号を様々な呼び方で言い表すようです)
日本の公認会計士の試験制度について
続いて、『 (3)日本の大学で博士号を取る!』と『 (4)日本の公認会計士の資格を取る!』の部分ですが、
ここを理解するためには、最初に、日本の公認会計士の試験制度について知る必要があります。
まず、わが国の公認会計士試験は、①短答式試験と②論文式試験の2つの試験で構成されています。
『①短答式試験をクリアしたら ⇒ ②論文式試験が受験できる』という関係です。すなわち、これら2つの試験は、一次試験と二次試験の関係になっていると言えます。
そして、短答式と論文式、それぞれの試験科目は以下のようになっています。
【短答式試験(≒ 一次試験)】
① 財務会計論
② 管理会計論
③ 監査論
④ 企業法
【論文式試験(≒ 二次試験)】
① 会計学(※)
② 監査論
③ 企業法
④ 租税法
⑤ 選択科目(経営学、経済学、民法、統計学の4つの中から1科目を選択)
※財務会計論と管理会計論、2つの分野を合わせて一つの「会計学」という科目となっています。
短答式試験については、4科目全て、同一の試験日に受験する必要があります。科目合格の制度はありません。
なお、ある年の短答式試験に合格した場合、その年の論文式試験に不合格となった場合でも、翌年と翌々年の2年間は短答式試験が免除されて、いきなり論文式試験から受験することが可能です。
論文式試験についても、基本的には、全科目を同じ年の試験で一気に合格しなければならないと考えて頂いても大丈夫です。一応、『全体としては不合格でも、一定以上の点数を取った科目については、2年間試験が免除される』というルールがあるにはあるのですが、いろいろな事情により、この制度を活用して受験計画を立てる受験生はほとんどいないようです。
いずれにしましても、日本の公認会計士の試験は、多数の科目を同時に合格レベルにまで仕上げなければならない、短期集中型のハードな試験と言えるでしょう。働きながらの受験は現実的ではなく、合格するには受験勉強に専念することがほぼ前提となっています。
博士号の取得による公認会計士試験の免除について
このように、日本の公認会計士試験は、社会人の受験を排除するような非常に過酷な試験制度となっています。
ただ、あまり知られていませんが、日本の公認会計士試験には、様々な「免除制度」が用意されています。
たとえば、税理士の資格を持っている人であれば、短答式試験の「財務会計論」と論文式試験の「租税法」が免除されます。また、会計専門職大学院を修了していると、短答式試験のうち「財務会計論」と「管理会計論」と「監査論」の3つが免除されます。
そして、様々な「免除対象者」の中でも、『博士号の取得者』はかなり優遇されています。
まず、短答式試験についてですが、「商学に属する科目」または「法律学に属する科目」の研究により博士の学位を授与された人は、短答式試験が全て免除されます。すなわち、いきなり論文式試験から受験をすることが可能なのです!
なお、「法律学に属する科目」は簡単にイメージできると思いますが、「商学に属する科目」については、少し補足をさせて頂きます。まず、会計学は、問題無くこれに該当します。また、経営学も、「商学に属する科目」として会計士試験の免除を受けられるようです。
次に、論文式試験についてですが、研究分野に応じて以下のような科目免除を受けることができます。
「商学に属する科目」の研究により博士の学位を授与された人 | 会計学と選択科目(経営学)
が免除 |
「法律学に属する科目」の研究により博士の学位を授与された人 | 企業法と選択科目(民法)
が免除 |
このうち、「商学に属する科目」の博士号取得者であれば、公認会計士の最重要かつ最難関の科目である「会計学」が免除になるというのは、非常に驚きでしょう!
そして、会計学の博士だけではなく、経営学の博士であっても「会計学」の免除を受けられるというのも、実に興味深いです。
以上のように、「商学に属する科目」または「法律学に属する科目」の博士号を取得すれば、『短答式は完全に免除 + 論文式も2科目免除』という、非常に有利な状態から公認会計士の試験をスタートすることができます。特に、前者の「商学に属する科目」、すなわち会計学や経営学の博士号であれば、論文式試験で「会計学」を受験しなくても済むという。絶大なアドバンテージを得られます。
※公認会計士の「免除制度」について詳しくお知りになりたい方は……
・TAC様:『免除対象者一覧』(※外部リンクへジャンプ)
・公認会計士・監査審査会:『公認会計士試験に関するQ&A』(※外部リンクへジャンプ)
等をご参照ください。
『博士号を取得すれば会計士試験が楽になる』のは分かったけれど……
博士号と公認会計士試験の密接な関係を解説させて頂いたところで、『ACCA⇒ロンドン大学MSc⇒博士号』というルートを経て最終的に公認会計士の資格を取得する方法について、さらに補足をしていきたいと思います。
なぜ、わざわざ『ACCA⇒ロンドン大学MSc』を経由するのか?
博士号を取得するためには、大学院の博士(後期)課程に入学しなければなりませんが、その入学要件として、『修士号を取得していること』という条件が設定されていることが一般的です。
そして、この「修士号」というのは、海外で取得した学位でもOKなのです。
この記事の前半や前回の記事でもお話ししましたが、『ACCA⇒ロンドン大学MSc』のルートをたどれば、かなりお手軽に「修士号」を取得することができます。おそらく、世界で一番負担の少ない方法でしょう。
「期間は半年間」「費用は50万円」「授業や課題はすべてオンラインで完結」である上に、「入試や英語力の要件も課されない」からです。
以上のように、『博士(後期)課程に入学したいがためだけに、修士号を取得する』という目的であれば、『ACCA⇒ロンドン大学MSc』という方法を採るのが世界で最も合理的といえるからというのが、「なぜ、わざわざ『ACCA⇒ロンドン大学MSc』を経由するのか?」という疑問への回答となります。
博士号って、働きながらでも取れるの?
ACCAにせよ、ロンドン大学の会計学MScにせよ、いずれも仕事を辞めずに働きながら取得することを前提にお話ししてきました。
ですので、ここにきて、もし『博士(後期)課程に入学したら、仕事を辞めて学生生活に専念しなければならない』ということになってしまえば、多くの方は二の足を踏んでしまうことでしょう。
この点については、まず、以下の記事が参考になると思います(かなり古そうな記事ではあるのですが……)。
『社会人大学院生の生き方(後編)』(※外部リンクへジャンプ)
働きながら経営学の博士課程に通っていらっしゃる方の体験談的な内容なのですが、その冒頭部分にて、
DR課程はMに比べて授業のコマ数も少なく、自分の裁量が大きく取れます。仕事の空いたとき、休みの時に自分の好きなように研究が出来ます。
という記述がございます(※「DR」というのは博士、「M」というのは修士のことです、念のため)。
また、ホームページの記載から、「社会人でも働きながら経営学や会計学の博士号取得に挑戦できる」ことが明らかに分かる大学院も、いくつか存在します。以下、その一例です。
・筑波大学(※外部リンクへジャンプ)
・高千穂大学(※外部リンクへジャンプ)
以上のことから、「博士号って、働きながらでも取れるの?」という疑問に対しては、「可能である」というのが答えになるでしょう。
なお、前述の通り、『博士号取得者』として公認会計士試験の免除を受ける場合、試験の負担がかなり軽減されます。具体的には、論文式試験を3科目受験するだけで済むようになります。これであれば、働きながらでも取り組むことができるでしょう。
そのため、結局のところ、博士号の取得も働きながら可能であるし、博士号を取得すれば、公認会計士試験も働きながら合格を目指せる、ということになります。すなわち、今回の記事で私がご紹介しているのは、
ACCA(英国勅許公認会計士)を皮切りに、試験免除の制度を活用して日本の公認会計士の資格を最初から最後までずっと働きながら取得する方法
ということになるわけです。
そもそも博士号って、そう簡単に取れるものなの?
公認会計士試験の免除を受けるためには、「商学に属する科目」(=会計学、経営学etc)もしくは「法律学に属する科目」の研究により博士号を取得しなければなりませんが、いずれも文系の科目です。
そして、「文系で博士号を取る」というと、
・取得するのはメチャクチャ難しい。
・文系の博士課程なんて、学位を取得できないまま「満期退学」するのが当たり前の世界。
・そもそも、担当教員ですら博士号を持っていないなんてこともざら。
といったような、ネガティブな情報ばかりを目にします。
そんな中で、以下の記事は、私たち現役バリバリのビジネスマンにとって『希望の光』となるでしょう。
『公認会計士が博士号を取るということー佐藤信祐公認会計士に聞く』(※外部リンクへジャンプ)
この記事によれば、『博士号が取得できるかどうかは、研究テーマの選択にかかっている』とのことです。
記事に登場する博士号取得者の方は、進学前から確固たる研究テーマが決まっていたようで、「論文の目次」すら作成済みであったそうです。進学後は、その目次の順序に従った内容の査読論文を3カ月に1本ほどのペースで提出し、粛々と最終的な博士論文の完成を進めていったようです。
つまり、『研究のテーマも、博士論文の骨組みも既に出来上がっている。あとは実際に研究を行って、論文の中身を肉付けしていくだけ』というような状態で、博士課程に入学しているのです。
確かに、ここまでハッキリとした研究テーマがあらかじめ見付かっていれば、博士論文を書き上げるのもスムーズにいきそうですよね。
そして、幸いなことに、公認会計士試験の免除の対象となっているのは、会計学、法律学、経営学といった、実務にも密接に関わってくる学問分野です。
たとえば、経理や財務等の仕事をしている人であれば、会計の処理や理論に毎日触れていることでしょう。法務部で働いている人でしたら、法律関係の文章や書面を目にしない日はないでしょう。そもそも、組織で勤務している以上、「経営」と無縁な人は一人もいないはずです。
このように、私たちのような現役の社会人であれば、日々仕事をするなかで、会計や法律や経営の話題に触れる機会はたくさんあるはずです。とすれば、普段の仕事の中で、常日頃から疑問に考えているようなことを、そのまま「研究テーマ」にすればよいのではないでしょうか?
たとえば、経理職や法務職の人ならば、会計のルールや法律そのものがおかしいと感じる機会はありませんでしょうか? また、自分が所属している会社や部署を見渡してみて、経営やマーケティングの戦略、あるいは人事の方策などについて、不思議に思うことはないでしょうか?
そうした「日々の疑問」を研究テーマに設定して、その解決策を模索していく内容の論文を完成させていくことが、私たち社会人が働きながら博士号を取得するための最善の方法だと考えます。
以上のことから、「博士号って、そう簡単に取れるものなの?」という疑問に対しては、『普段からどのような姿勢で仕事に臨んでいるか次第である』というのが、私の考えでございます。
「上から与えられたことを何も考えずに淡々とこなしていく」といった仕事の姿勢では、日々の仕事の中から「研究テーマ」を見出すことは到底不可能です。一方、「常識や前例にとらわれず、それらに疑問を抱くことすら恐れずに、常により良い方向を目指していく」という好奇心や探究心をもって仕事に臨み続けていれば、大学の教授をも唸らせるような研究テーマを見つけ出すことも、きっと可能なはずです!
まとめ
今回のお話を改めてまとめます。
まず、日本の公認会計士試験は、会計学or経営学or法律学の博士号を取得していると、かなりの部分が免除される。
そして、博士号を取得するためには、
① 修士号を取得すること
② 研究テーマをしっかりと決めること
の2つが必要となる。
【① 修士号を取得すること】
『ACCAを取得する ⇒ ロンドン大学の会計学MScを取得する』というルートをたどれば、かなり負担をおさえて修士号の取得ができる。
【② 研究テーマをしっかりと決めること】
普段からしっかりと好奇心や探究心をもって仕事に臨むことで、日々の仕事の中から研究テーマを見つけ出せばよい。
そして、以上の『ACCA⇒ロンドン大学MSc⇒博士号⇒公認会計士試験を受験』という過程は、最初から最後まで働きながら実現することが可能。
……以上でございます!
今回もご閲読ありがとうございました!!
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