どうも、クマガワ(@Kumagawa_Pro)です!
2020年5月初頭、「外出自粛」のゴールデンウィークは、皆様いかがお過ごし(だった)でしょうか?
さて、今回は、現在私がACCA(英国勅許公認会計士)の受験勉強で使用している、
IFRS・国際会計の参考書(日本語の本です!)
を何冊かご紹介したいと思います。
同じくACCAを受験中の方や、受験を検討している方、
あるいはUSCPA(米国公認会計士)の受験生や、現役の経理職の皆様 等々、
是非ともご参考にして頂けましたら幸いです!
そもそも「国際会計」の前に……
今回私がご紹介する書籍は、いずれも基礎的な簿記や会計学の知識が身に付いていることが前提に書かれていると言える内容・難易度です。
ですので、そもそも簿記や会計学そのものに初めて触れるような方は、IFRSや国際会計の本に手を出す前に、まずは基礎的な簿記・会計の学習することをオススメいたします。
簿記については、日商簿記検定の3級や2級(商業簿記)のテキストを利用するのがよいと思います。
会計学については、桜井久勝先生の『財務会計講義』を読むのがよいでしょう。日本の会計学教育において、圧倒的な評価を誇る定番中の定番の超ロングセラーな教科書です。
『財務会計講義』
書籍紹介
それではここからは、私が実際に利用しているIFRSや国際会計の参考書を3つ(+α)ほどご紹介していきます!
ベーシック国際会計(中央経済社)
『ベーシック国際会計』
(この本の特徴・簡単な説明)
学者の先生が書いた本です。
ページ数は割と少ないですが、IFRSの主要なテーマを網羅的に押さえています。「最初の一冊」として最適です。
(オススメの使い方)
最初に通読(本の最初から最後まで目を通す)しておくと、FAやFRの学習をする際、「あ、これは確か、あの本でも見たことあったな!」という感じに、理解のスピードを早めることができると思います!
(書評・コメント)
そもそもですが、会計分野の書籍には、資格予備校が出版しているものを除くと、実務家の方が書いた本と学者の先生が書いた本の2種類に大別できます。
このうち、実務家の方々の本は、やはり実務を念頭に書かれているだけあって、一冊当たりの情報量が多いです。その反面、学問的な視点からの掘り下げがほとんどないため、「これはそういうことだったのか!」というような、本質的な理解や新しい発見を得られにくいという側面もあります。イメージとしては、会計の処理や制度を淡々と矢継ぎ早に解説している本が多いという感じです。
一方、学者の先生の本は、学問的な視点をベースにしっかりと掘り下げた解説をしていくので、本質的な理解を得られることが多いです。その代わり、ページ当たりの情報量は少なくなりがちです。また、実務にも試験にも直接関係無いようなマニアックな項目へと“脇道にそれる”箇所も見受けられたりします 苦笑。
いずれにしましても、「資格試験の参考書」として用いるなら、学者の先生が執筆した本の方がオススメです。ACCAに限らず、おおよそ筆記試験というものは、基礎的で本質的な理解が身に付いているかを問われるものだからです。
※以上は、あくまでも「傾向」のお話です! 実務家の方の本であっても、鋭い視点で本質をえぐり出しているものもあると思いますし、学者の先生の本であっても、実践的な情報が詰め込まれたものもある筈です。
もちろん、一口に「学者の先生による会計の本」と言っても、その内容は多種多様にわたります。
その中でも、『ベーシック国際会計』は、私が実際に大型書店に行って比較検討した本のうち、「IFRS・国際会計の解説書として一番初めに読むのに適した本」と感じた一冊です。
まず、ページ数が多くないので、普通に通読が可能です。文章の書きぶりもそこまで堅くなく、難解ではありません。また、本の構成(どのような内容が、どのような順番で並んでいるか)も、特定のテーマに的を絞らないIFRS・国際会計の解説書としては、非常にオーソドックスなものとなっています。網羅性も十分なレベルです。
テキスト国際会計基準 新訂版(白桃書房)
『テキスト国際会計基準 新訂版』
(この本の特徴・簡単な説明)
注目すべきは本の構成です!
現時点で有効なIAS・IFRSをすべて省略することなく順番に取り上げていくスタイル(しかも分冊せずに一冊の本の中で)は、他の書籍では類を見ません!!
(オススメの使い方)
すべての国際会計基準が載っているので、辞書的に使用するのがメインになると思います。
ページ数があまり多くなく、内容も簡潔明瞭なので、通読するのもありです!
(書評・コメント)
これも学者の先生が書いた本です。ただし、通常の書籍とは違い、一人(または少数)の先生が著者となっているのではなく、多数の先生が分担して執筆している形式になっています。
この本の素晴らしいところは、何と言っても、現時点で有効なIAS・IFRSの基準書をすべて漏れなく解説しているところです。IAS29「超インフレ経済下における財務報告」やISA41「農業」、IFRS14「規制繰延勘定」に至るまで、本当に“全部”載っています。
一冊の(IFRS・国際会計の)解説書としては、この本以上に網羅性が優れたものはないでしょう!
また、執筆の取りまとめ役を務めているのは、冒頭で少し言及した『財務会計講義』でおなじみ(?)の桜井久勝先生です。
そのため当然ながら、桜井先生が自ら執筆されている箇所もあります。桜井先生の文章には、他の先生方とはまさに「一線を画す」オーラがあります。研究者としての頭の良さ、そして教育者としての思慮深さがひしひしと伝わってきます。
「国全体としては、収益性の高い企業ほど株価が高くなる結果として、より多くの資金が配分されていくことになれば、経済効率の観点から望ましいといえよう。(だからこそ、投資判断の材料となる財務諸表の適正さを担保する会計基準や監査制度が重要となる)」
「営業活動によるキャッシュ・フローは、一般に純損益の決定に関わる取引その他の事象から生ずる。(だからこそ、支払利息、受取利息および受取配当金を営業CFに計上する方法が認められている)」
という感じに、さらりと本質を照らし出す一文を随所に織り込んでいくご慧眼は、さすがの一言しかありません……。
国際会計検定BATIC Subject2公式テキスト:国際会計理論(中央経済社)
『国際会計検定BATIC Subject2公式テキスト:国際会計理論』
(この本の特徴・簡単な説明)
東京商工会議所が主催する「BATIC(国際会計検定)」という検定試験の公式テキストです。
仕訳や設例が豊富だったり、用語の意義や要件等が端的にリストアップされていたりと、「試験対策」としてIFRSや国際会計理論の内容を把握・整理するにはぴったりの本です。
(オススメの使い方)
「これって具体的にはどういう仕訳や処理をするの?」
「結局この制度や理論は何をどういう風に覚えたらいいの?」
「あれ? あの用語の意味や要件って何だったっけ?」
等々、勉強中に出てくる様々の疑問をこの本で調べることによって、「試験で訊かれても答えられるレベル」にまで知識を定着させることができます。
(書評・コメント)
分類するのであれば、「予備校本」に近い性質を持った本です。
試験対策上の観点から情報が端的に整理されているので、ちょっとした調べ物や試験直前の見直しには最適です(※BATIC対策用の本ですが、「IFRSや国際会計の試験」という点は同じなので、ACCAの勉強にも十分使っていけます)。
一方、「予備校本」の宿命ですが、様々な情報が“切り貼り”のような形で詰め込まれている印象があります。そのため、じっくりと通読して理解を深めるという使い方には向きません。既に十分に勉強が進んだ段階で、知識の整理や穴埋めのために情報を拾い上げていくのに活用するのがよいと思います。
正直、読んでいて本質的な理解や新しい発見、言うなれば「感動」があるのは、先にご紹介した2冊の方です。やはり、会計学という学問を扱う性質上、学者の先生方が持つ視点の深さや鋭さには、民間人ではどうしても超えられない壁があります。
しかしながら、調べ物をしたりするのに私が一番よく使っている参考書は、実はこの『BATIC公式テキスト』だったりします。試験を意識した形で情報が整理されているので、受験勉強の場面では非常に使いやすいのです。
ここら辺は、まさに適材適所といったところです。どんな本にも、どんなものにも長所や短所があるので、自分の目的に合わせて「美味しいとこ取り」するのが一番です。(余談ですが、長所や短所を見極めて長所だけをうまく拾ってつなぎ合わせていく「柔軟な姿勢」の大切さは、何事にも通じる人生の秘訣だと思ってます!)
なお、この本はBATICの「Subject 2」のテキストです。ということは当然「Subject 1」のテキストも存在します。
『国際会計検定BATIC Subject1公式テキスト: 英文簿記』
「Subject 1」の方は、非常に初歩的な内容となっています。FAの試験対策上は、むしろこちらの方が役に立つかもしれません。
かく言う私も、「この経理用語や勘定科目って、英語では何て言うの?」(あるいはその逆。英語⇒日本語)みたいな基本的な疑問を調べたりするのに、割とよく使っています。
今回はここまでです。
ご閲読ありがとうございました!
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